生成 AI の市場投入が始まった
世界から見た日本とデジタル化
海外へ行くと日本の良さが見えてきます。
皆さんもそんな経験はありませんか?
実は縁あって海外でこのコラムを書いてます。日本を離れることで客観的になり何が大切
で何が本当に好きなのか見つめ直す機会にもなります。
日本の良いところをあげると、先ずは春夏秋冬、四季の変化があることです。
四季が織りなす自然の風景は何といっても魅力的で素敵です。
ちなみに、日本になぜ四季があるのかご存じですか?
それは、地球の「軸」が斜めに傾いてるからです。
地球は自転しながら太陽の周りを回っていますが、地軸が垂直ではないため太陽の光の当たり方が変わるのが理由だそうです。
他にも日本の良さはたくさんあります。
今の季節は虫の声がとても賑やかで、日本人はこの虫の声と共に生きてきたのだと。
「虫の知らせ」と言う言葉は海外でも通じると聞きました。
「寿司」や「もったいない」のように。
虫の声を聞くことが出来て、虫と会話できるのは日本人とポリネシア人だけだそうです。
縄文時代からの日本語にその理由があるそうです。
ひとつ日本のいいところを見つけた気分になりました。
時に海外の人が感じるものを例にあげると、治安が良い、電車やバス、飛行機など交通機
関が時間通り運航するのでストレスがない。物価が安い。公衆トイレが綺麗。チップを払
わなくてもサービスが良い。どこへ行っても安定感のある食事があり、コンビニがどこに
でもあるなどです。
では逆に、海外の人が感じる日本の不便さは、何だと思いますか?
電車やバスの外国語表示や乗り換え等のわかりづらさでしょう。
次に、「Wi-Fi 環境」が悪いことです。
日本人からすると意外かもしれませんが、海外は公共や店舗 Wi-Fi 環境が発達していて、
日本のように通信会社の管理下でモバイル通信を利用するスタイルではないからです。
実は日本のデジタル化は、海外と比較すると遅れています。コラムでも何度もテーマにあげた
『日本の DX 化の遅れ』は、海外から見るとより切実に感じます。
そして今回は DX の中でも最も注目されている『生成 AI(人工知能)』について話したいと思います。
日本の生成 AI の現状と市場投入例
以前のコラムで、孫正義さんの話をお伝えした約1年半前、海外企業はチャット GPT な
ど生成 AI の活用が約 70%に対し、日本企業はたったの 7%しか使われていませんでした。
しかし、2024 年6月に発表された帝国データバンクの調べによると、国内企業の 17.3%が
生成 AI を活用し、その内の約 9 割の企業が一定の効果を実感していると回答しています。
また、活用における問題点として生成 AI の理解力に、経営者と一般社員に大きなギャップ
があることや、人材とノウハウ不足があげられていました。
ちなみに、総務省の海外企業における生成 AI の活用率は、アメリカ 84.7%・中国 84.4%・
ドイツ 72.7%です。
とはいえ、遅ればせながら日本でも一般市場への投入が早々に始まりました。
具体的な例をあげると、先ず個人的に目に付いたのは、7 月の東京都知事選に立候補した
「安野たかひろ」さんです。職業が AI エンジニアということもあり、公式ホームページに
おいての「AI あんの」です。安野たかひろ氏の政策を学習した「AI あんの」が 24 時間質問
に答えるものです。
最近では、 「AI チャットボット」を活用した会話力の高いサービスが政治家だけではなく、
企業の問い合わせや CV 改善やバックオフィスなど顧客サービスとして充実し始めました。
また LINE を窓口にした会員管理サービスとしても今後も一層増えていくでしょう。
次は、Google の「Gemini ライブチャット」です。
OpenAI の「GPT-4o」の競合として先月から活用され始めた「Gemini ライブチャット」
ですが、個人的な感想を言えばグーグルアシスタントのバージョンアップされたものだと
思っていましたが、全然優秀です。想像以上に会話も流暢で、病気に関する質問をしたの
ですが、しつこいぐらい(良い意味です)具体的な対処法の提案や薬や病院まで教えてくれ
ます。
海外のレビューでも評価が高く今後は拡張機能やアプリとの連携も目指しているそうで、
今後のチャット GPT との比較も含めて楽しみです。
3 つ目は、ベネッセの「自由研究おたすけ AI」 。
このサービスのベースは、チャット GPT の技術を利用し、自由研究のテーマ選定を支援
し、こどもたちの疑問にアドバイスしてくれるサービスです。
このベネッセの取り組みは、デジタルリテラシー教育の視点から考えられた新たな学習サ
ポートシステムです。
4 つ目は、 「SMBC-GPT」 。
三井住友ファイナンシャルグループが実証実験を開始したチャット GPT を活用開発した
AI アシスタントツールです。
これには外部の AI を活用せず自社内で従業員の生産性向上を図るシステムで、文章の作成、
要約、翻訳、ソースコード生成など多岐にわたる業務をサポートしてくれます。
これは、SMBC だけではなく今後全ての企業が一般化する取り組みだと思います。
これらはほんの一部で、他にも伊藤園の CM 製作のようにモデルを生成 AI で作成したり、
パルコのナレーションや音楽を AI で製作するなど広告業界や、建築設計、デザイン、商品
開発、人事などあらゆる企業で、生成 AI は活用されていくことでしょう。
生成 AI の今後
この生成 AI の市場は、2030 年までに年平均 47.7%増で成長し、約 1.8 兆円まで拡大する
そうです。
2022 年 11 月のチャット GPT の公開から約 2 年、まだまだ成長変化していくでしょう。ま
た、実験されてたシステムが数年数か月に次々と市場投入されていきます。
そして、Google の Gemini ライブチャットとのように対話型が一般化され、チャット GPT
の新たな機能「Memory」が当たり前、パッケージ化されると、更なる独自性、専門性が
追求されます。
ある意味複雑化されますが、私は生成 AI は、人とビッグデータとシステム
のコミュニケーション・エージェント(仲介役)化するのだと思います。
簡単に言えば、人が難しく感じることや学ぶと大変なことなど、そして生活全般とデジタル
を結ぶコンシェルジュの役割を果たすのだと思います。
日本の DX 化の遅れを取り戻してくれるのも、生成 AI だと私は思います。
但し、自身の生き方や考え方の軸をしっかりしないと根本的なことが見えなくなるかもし
れません。あなたがあってこその生成 AI だということを忘れてはいけません。
テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。
コメント