~子どもたちを幸せにする自転車 GX 党の結成⁈~
●「LOHAS(ロハス)」の先にある「GX(グリーントランスフォーメーション)」
人類は環境問題に取り組む中で、様々な考え方を提唱して来ました。
例えば「エコロジー」という生態学から生まれた環境に優しく配慮するといった考えや、「自然回帰」という社会経済の発展の流れからもとの自然に回帰させることで環境問題を解決する取り組み、また近年では「サスティナブル」という持続可能な開発といったSDGs ビジョンに繋がる考え方などです。
しかし、これらの考えはけして完成形ではなく「エコロジー」は未だ曖昧な定義だという批判もあり「自然回帰」は、ありのままの自然こそ理想というロマン主義のなごりと経済や文明発展を否定する考えは現実的には不可能ともいえます。
そんな中で、わたしは近年、改めて注目している考え方があります。
それが「 「LOHAS(ロハス)」です。
1990 年後半にアメリカの社会調査から生まれたマーケティングコンセプトでもありますが、特に【健康と地球環境】というコンセプトは、意識の高いライフスタイルを提唱する上で当時魅力的でしたが、やはりわたしには理想論にしか思えませんでした。
しかし、一回りして、今こそ人類も自然環境として考えれば持続可能に生活するこの考えが環境問題対策として必要だと感じたのです。
また、環境の世界は今、脱炭素社会に向けて再生可能エネルギーに転換する様々な取り組みを掲げ、化石燃料から太陽光発電、風力発電などクリーンエネルギーを中心に転換し社会経済システム全体を変革に向けて取り組んでいます。そして、このカーボンニュートラルと経済成長の両立を目指すことを【GX(Green Transformation/グリーントランスフォーメーション)】といいます。
日本では、経済産業省が推進し、政府と企業が一丸となり取り組んでいますが、私はこの取り組みに人類も参加するべきだと感じています。
つまり「政府」「企業」「人」この三位一体で取り組む GX こそが、未来の地球環境対策の最も重要な考え方だと提唱致します。
●自転車から人力クリーンエネルギーをはじめよう
みなさんは自転車に乗っていますか?
それは通勤や通学ですか?
買い物など移動手段ですか?
それともサイクリングや健康のためですか?
わたしは健康維持を意識して乗っています。そして、ロハスの【健康と地球環境】のコンセプトに自転車はピッタリだと思いませんか?
最近こんな風に考えたのです。もしもこの自転車という人力エネルギーをもっと生活に環境に活用できないかと。
もちろん「人」が自転車で作るエネルギーがたかが知れてることは理解してます。
だいたい 1 時間当たり 50W が限界です。50W といえば扇風機・空気清浄機・スマホ・ノートパソコンなどですが、テレビは難しいです。ただし、それ以上に問題は、一時間以上こぎ続けるのは大変ですし、体力も電力の安定感もありません。
一般的には自転車発電のグッズも多く販売されてますが、注目すべき点は災害対策用の防災グッズとしての自転車発電です。非常用ライトやスマホなど備えておけば小型家電の充電が人力で出来ます。
話を戻しますが、自転車における人力エネルギーは単なる思い付きではありません。オランダのアムステルダムでは「創蓄連携バイクステーション」が 2025 年の完成に向けて開発され既に街灯に灯りをともしています。
この「S-PARK」プロジェクトは、自転車の前輪に専用ホイールが装着され、走行時やブレーキング時に発電し搭載したバッテリーに蓄電され、この自転車の専用ラックに駐輪することで電力網へ電力が送られるシステムです。
S-PARK の専用ホイール(見た目は普通の自転車)
送電する駐輪用の専用ラック


ちなみにこのプロジェクトは、自転車の利用者が多いアムステルダムの 1 日当たりの総走
行距離、約 200 万 km をもとに移動距離をエネルギーに換算すると平均約 1950 万 Wh に相
当するそうです。そして、設置中のブルーのラックには、30 台の自転車が設置可能で、各
自転車が 1 日平均 3.6km 走行すれば 1kWh(日本の 2.3 世帯の年間電気消費量分)の電力を
発電し、これを 1 年間継続すると、二酸化炭素(CO2)615kg の排出を減らせる計算になり
ます。
同時に日本の自転車発電(ダイナモ出力)も日々進化していますが、個人の負担ではなく産
官民、産官学民が連携してこそ、民(人)が協力できるのではないでしょうか。
また、人力エネルギーはそれだけではありません。
例えばイギリスでは、スマートロードという歩くだけで発電に変えるエコストリートがロ
ンドンのウエストエンドに存在します。これは「床発電システムペープジェン」といって
イギリスのベンチャー企業のプロジェクトです。
通称「Bird Street」は、約 10 平方メートルの黒いタイルの下に運動能力を電力に変え、人
が通り発電するたびに鳥の声が流れる設計です。
このテクノロジーは既に世界に広がり、ワシントン DC の公道や、リオデジャネイロのサ
ッカー場などに使われています。実は 2006 年頃から日本の東京駅でも 3 度にわたり実装実
験が行われています。

ミュージカルシアターが集まる商業施設にある「Bird Street」
●幸せを運ぶ自転車「Cycling increases happiness」
やはりテクノロジーの進化は、ロハスから GX を見据えて進化していますが、わたしが自転車にこだわるのにはもう一つ大きな理由があります。
それは、世界一の自転車大国のオランダに見習うべき【幸せ】があるからです。
オランダは、世界 1 位の自転車保有率を誇り国民 1 人当たり 1.25 台(日本は世界 6 位で 0.56台)と 1 人 1 台以上の自転車を持っています。ですから政府も企業も国民も自転車フレンドリーで自転車が生活に密着していています。そんな中、オランダ政府は「オランダ自転車ビジョン」という自転車戦略における明確なビジョンを構築しています。
その中で特に注目すべき項目は「Cycling increases happiness」です。
つまり自転車に乗ると【幸せ】になれると明言しているのです。
その 3 を紹介すると「Cycling is associated with joy!」「Cycling offers freedom to children 」「Cycling improves quality of life」です。車や公共交通機関と比較しても自転車に嫌悪感を抱く人の割合が少なく喜びを感じやすい乗り物で、また、子どもたちの行動と精神的幸福度の関係データの中では自転車に乗ることは、規則正しく朝食をとるに次いで 2 位となっていたり、大人たちも自転車は、独立性や柔軟性があり、更にはストレス解消になると共に生活水準を上げるモノだと思っています。
以前、コラムでも紹介したユニセフが先進国を中心に子どもたちの状況を調査するレポート『子どもたちの幸福度ランキング』でオランダは 1 位です。そして日本は上昇しましたが、子どもの自殺率が高いままの 20 位です。もちろん国によりさまざまな要因はありますが、見習うべき点も多くあると感じています。

●政治的なアプローチの必要性を感じます『自転車 GX 党』
みなさんは、2023 年 5 月 31 日に参院本会議で自民、公明、維新、国民民主の各党の賛成多数で可決成立した「GX 脱炭素電源法」をご存じですか?
その法案が来年の 2025 年 6 月 6 日から施行されます。しかし、今後のエネルギーにおける環境問題において重要な決議もありましたが、わたしは疑問も感じています。それは可動から 60 年を超えた原子力発電所の運転を可能にしたからです。元々、福島第 1 原発事故後に導入した「原則 40 年、最長 60 年」の法案をさらに延長するのはどうかと思うのと同時に、国民的な議論がなされぬまま原子力の積極的な活用は問題だと感じています。
本当に国民のための取り組みなのでしょうか?
とはいえ、ドイツの原子力ゼロの施策から、現在の電気料金の負担により経済低迷を招いた失敗を日本も考えなければならないことも真実です。
わたしは、この法案で太陽光発電の優遇施策もありますが、国民や地元に対して今後はもっと電気代から徴収されるだけではなく、説明責任や、オランダ政府のようにより身近に再生可能エネルギーを感じ参加できるように取り組むべきだと思います。
また、誰もが自家発電し電気業者を経由しなくても可能な法改正も必要だと感じます。
このコラムを書く中で、新たな環境未来へ向けて政治的なアプローチの必要性を痛切に感じると同時に『自転車 GX 党』という言葉が浮かびました。
そして今後は、この政治的な視点で自らも動いてみたいとも思うようになりました。
大阪の堺には世界一の自転車メーカーがあり
大阪市の自転車保有率もずば抜けて高く
大阪は様々な可能性を感じます。
また自転車を活用した子どもたちの精神ケア、高齢者の運動などの健康とメンタルを維持
するための取り組み、パリやオランダのように観光都市としての自転車の活用、防災とし
ての自転車など今後取り組みたいです。
そしてなによりも「幸せを運ぶ自転車」「子どもたちの幸せにする自転車」のために、アムステルダムに負けないような新たな脱炭素の再生可能エネルギー(人力エネルギー)としての取り組みたいと思います。
『自転車 GX 党』に興味のある方は是非連絡ください 。
テック産業アナリスト 能任裕行