テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-25
25号 エシカル(Ethical)×テック(Technology)= エシカルテック① エシカルテックという未来テクノロジーへの提案

コラムアーカイブ

2020年7月18日

2020年7月17日、政府は経済財政運営の基本方針となる『骨太の方針』を発表しました。これは、経済財政諮問会議と未来投資会議の合同会議で決定された、今後1年間を集中改革期間としたコロナアフターだけでなく、企業や国民の生活にとっても、大変重要な方針だと思います。

しかし、安倍首相が語られた「思いきった社会変革を果敢に実行する」という思いに反し、各新聞社やマスコミは、「骨太で危機を乗り越えられるか?」と言った感じの批判的な意見も多く、私は不安というより未来社会においてこの大切さをもっと理解して欲しいと感じました。

この方針の三本柱は、「行政サービス・テレワークなど企業の取り組み・国民消費の基本となる『通貨』における、3つの本格デジタル化」と「防災対策でもある国土強靭化」、そして「財政の健全化」です。

確かにマスコミの方が云われるように、今回のコロナに関係する給付金の手続きの問題、その委託先のお金の問題、ここ最近の自然災害の対応を踏まえての対策だったとしても、国民の意見をすぐさま取り入れた省察な判断であれば、大変喜ばしいことではないでしょうか。

私は、あえて皆さんに申し上げたいのですが、この方針は間違っていません。今こそ日本が取らなくてはならない「しっかりとした骨太」対策です。そして、この考えは、私がかねてから再三申し上げて来た【デジタルトランスフォーメーション都市】という未来都市のビジョンでもあるからです。

きっかけは何でも構いません。どこからか圧力があったのかもしれません。しかし、これらのデジタルな在り方は、中途半端より「思いきった」イノベーションが必要です。このコラムの1回目でお伝えした【デジタル通貨】がまさかこんなに早くやって来るとは思いませんでしたが、日本だけでなく世界経済も、それらを牽引するテック産業も【トランスフォーメーション(生まれ変わる)】が始まっています。イギリスの経済紙『エコノミスト』のメッセージを記しておきます・・・。

『世界で最も価値ある資源は、もはや石油ではなくデジタルデータである』

エシカルテックという新時代へのビジョン

私は現在、「テック産業アナリスト」として活動をしておりますが、今回から4回に渡り、近未来のテクノロジーの新たなビジョンとなる【エシカルテック】のご提案を致します。

日本では消費者庁が【エシカル消費】の推奨を2015年からしています。これは、国連が採択した「SDGs」の12番目の目標「つくる責任つかう責任」の考え方です。この「エシカル」の意味でもある倫理的な消費、つまり環境保全や社会貢献を意識して消費活動しようという国連発のグローバルなビジョンです。

そこで私は、テック産業においても、このエシカルな考え方を取り入れ、消費者と生産者が双方向に協力し、良い商品と、お互いが納得する段階的なモノ作りは必要だと感じています。

そしてそれは、技術面だけでなく、企業・商品に愛着を持ち、生産する(商品を作る)ことが、その企業と社員、更に社員の家族が、社会と環境に貢献するという誇りが持て。また消費者は、その商品を購入することで、社会と環境に貢献する。

・・・それが【エシカルテック】の考え方です!!

そして、『デジタルトランスフォーメーション都市』へ

もちろん企業においては、ISOやCSR、リサイクル法など様々な取り組みもありますが、それだけでは不十分です。実際に世界や国連からは、日本に対して、そう見られていません。例えば「SDGs」を参考にすると、日本は既に2030年に達成できない目標が4つあると言われています。

その中の1つが先ほどお伝えした「つくる責任つかう責任」です。

理由は2つありまして、

1つ目は、『日本企業における電子機器廃棄物の多さ』

2つ目は、『窒素排出量の多い製品の輸入』

です。2つ目の輸入というのは、以前【エネルギーテック】でお伝えした、化石燃料の輸入における日本の「エネルギー問題」に繋がります。そして、1つ目の電子機器廃棄物の問題を「イーウェイスト(電子ゴミ)問題」と言います。昨年の国連の発表では、世界で4850万トンの電子関連のゴミが毎年排出されています。そのほとんどが、日本・中国・アメリカ・EU諸国・韓国です。

一般的な消費者イメージでは、それらを家電やコンピュータ、通信メーカーが中心となりリサイクルしているように感じていますが、実は、その内の約2割しかリサイクル化出来ていません。

そういった現状を、真実を、生産者も消費者も知らなくてはいけません。そして、「つくる企業側の責任」だけでなく、「つかう消費者側」もゴミ、廃棄という新たなフェアートレード意識を持つことが必要です。

私が理想的な未来の街づくりとして提唱する【デジタルトランスフォーメーション都市】には、もちろん「イーウェイスト問題」が含まれています。いかにこれらを社会循環させるのか、どのように環境循環システムを構築するのか、まさに未来都市計画です・・・。

このテクノロジービジョンを私は【エシカルテック】と呼んでいます。

次回も引き続き【エシカルテック】における「イーウェイスト問題」についてお話します。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました