テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-56
#56 政府・政治(Government)×テクノロジー(Technology)=ガブテック(GovTech)①行政のデジタル化による可能性

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2020年2月27日

政治のデジタルトランスフォーメーション(DX)の時代がやって来た

皆さんには馴染みのない言葉かもしれませんが、この「政府・政治」と「テクノロジー」を掛け合わせた【ガブテック(GovTech)】という言葉が、世界では重要なキーワードになって来ました。

そして、これこそが、世界の政府や企業が取り組む「政治DX」と言われています。

私は、富士通で行政担当の経験があり様々なシステム構築に関わって来ましたが、当時はまだ【ガブテック】という表現は日本では使われていませんでした。

しかし、アメリカで1998年に『Government Technology』という雑誌が発行されたことにより、欧米で使われるようになりました。

そして、近年のデジタル化や、様々な緊急事態における【ガブテック】が注目されたことにより、欧米の政治家や政府の使う頻度が増え、日本でも数年前から一般化して来ました。

例えば、日本の厚生労働省が運営する『新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)』は、日本政府とGoogle・マイクロソフトなどが官民で連携する【ガブテック】です。

また、日本では、各省庁や経団連が推進する『ソサエティ5.0』を背景に、「ICT」や「AI」「IoT」「ロボット」「ビックデータ」等を活用して実現する未来社会を【ガブテック】のビジョンとしても捉えています。

具体的な政府関連のプロジェクトでは、【スマートシティ】【スマート農業】【スマート教育】などがこれに当たります。

【スマートシティ・プロジェクト】を具体的なイメージにすると、昨年、発表された『デジタル庁』創設にも関連しますが、「行政サービスのデジタル化」や政府が最優先に取り組む「マイナンバーカード」だけではなく、JR、地下鉄や高速道路などの交通機関に関する決裁や監視カメラのセキュリティ、電気・ガス・水道などの「スマートメーター化」、コンビニや百貨店、飲食などの決済システム、ビジネスや教育における「テレワーク」、シェアリングなどの「サーキュラー・エコノミー」など、政府や政治が中心となって取り組む都市開発DXを【スマートシティ】では描いています。

世界が取り組む「ガブテックプロジェクト」

そして世界各国の【ガブテック】が、今最優先に取り組む課題が、コロナ禍における様々なプロジェクトです。withコロナ、そしてコロナアフターに向けてどう乗り越え、経済を再構築させ、地方創生を行い、日々の生活を豊かにしていくかです。

各国の参考例を挙げると、アメリカのサンタモニカ市では、緊急対応におけるタスクフォースを設置し、都市型プラットフォームの構築をしています。

シンガポールでは、経済支援だけでなく、経済市場があると判断された職業訓練プログラムの【ガブテック】が動き出しました。

オーストリアやカナダ、エストニアでは、「労働力のシェアリング」のプラットフォームが出来ました。

もちろんこれらは、ほんの一握りです。

日本のガブテックは?!

しかし、日本政府が現状取り組む「デジタル庁」など【ガブテックプロジェクト】は、世界から大きく遅れていて、まだまだ不十分です。

本来の目的や内容以前にデジタル手続きの困難さの方が目立つ行政サービスや、ビッグデータの管理がなされず給付金の不正受給問題など、日本のデジタルストレス問題の解決には、まだまだ時間がかかります。

一言でDXといっても、簡単に成しえるものではなく、政府だけでなく企業や個人一人ひとりが共に協力し合えなければ成しえることは出来ません。だからこそ、【ガブテック】という政府のビジョンを明確に示す必要があります。

グローバル化に対応し、且つ安心安全な未来社会を、私たち国民は求めています。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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