テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-57
57号 政府・政治(Government)×テクノロジー(Technology)=ガブテック(GovTech)② 「デジタル庁」9月1日創設、そしてデジタルの日

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2021年3月6日

今週の気になるテック産業ニュース:「富士通、『健康経営銘柄2021』に初選定!」

2021年3月4日、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄2021」に、富士通が初めて選定されました。また、同時に経済産業省および日本健康会議より「健康経営優良法人~ホワイト500~」に5年連続で認定されました。

経済産業省は、東京証券取引所と共同で、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む上場企業を「健康経営銘柄」として選定しています。長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家に対して、魅力ある企業として紹介することを通じ、企業による健康経営の取組を促進することを目指しています。今回、第7回目となる「健康経営銘柄2021」に29業種48社を選定しました。

富士通グループは社員と家族の健康保持・増進のため、生活習慣病対策、がん予防対策、メンタルヘルス対策に向けたストレスチェックなどの各種施策に取り組んできました。

具体的には社員の健康増進のために、ベストライフプロモーションという会社を作り、健康アプローチやITによる健康管理をその会社で進めています。

数々の試しみを経て健康な体を維持する意識改革が長年にわたり実施されてきました。

その結果が実ったのだと私は感じています。

そして政府には様々な取り組みがあり、こういった企業のデータ管理して評価するのもガブテックの大切な役割です。

この後、引き続きガブテックのお話をさせていただきます。

「デジタル社会形成基本法案」が閣議決定

今回は、日本政府が取り組む【ガブテック】についてお話します。

そして、その柱となるのが9月1日に創設が決まった「デジタル庁」です。

また、それにともなう『デジタル社会形成基本法案』の閣議も2021年2月9日に決定し、その基本理念は「デジタル社会の形成に関し、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現、利用の機会等の格差の是正、個人及び法人の権利利益の保護等によりデジタル社会を目指す」という基本理念をはじめ、国・地方自治体・事業者の責務も規定されました。

これは、2000年に制定された「IT基本法」にかわるもので、大きなポイントは、デジタル改革の司令塔として各省庁への勧告権など強力な権限を持ち、日本政府のデジタルシステムを統括させるまさしく【ガブテック】というDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

また、関連法案として

・給付金などを迅速に受け取れるように、マイナンバーと金融機関の口座をひも付け

・マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載

・行政手続きの印鑑を原則廃止

・自治体ごとの異なる情報システムを統一する

などが盛り込まれています。

そして、「デジタル庁」開始から約一ヶ月後に、2021年10月10日・11日を『デジタルの日』と定め様々なイベントが開催予定です。

とはいえ、現状「マイナンバーカード」の発行に長ければ1ヶ月もかかるシステムを、どれだけ短くできるのか、セキュリティ問題をどう解決するのかなど、法案の基本方針の規定に盛り込まれてるとしても、不安も大きいです。しかし私は、「デジタル庁」を持続可能に成功されなければ、グローバル社会における日本の未来はないと思っています。

では、地方自治体の【ガブテック】はいかがでしょうか?

例えば、早い段階から取り組んでいた『神戸市長田区』は、子育てイベントの参加者を【ガブテック】により、前年比44%も増やし話題になりました。

これは2016年にサンフランシスコ市で導入されていた同様のプログラムをモデルにウェブアプリとして導入し、成功しました。

また、その成功の背景には理由があり、実は神戸市は、初めてフルタイム職員として「ITイノベーション専門官」という【ITビジネス経験者2名のジョブ型採用】を行い、この職員たちがプロジェクトを成功に導いたのです。

次は、『福岡市』です。

福岡市は、「LINE」と協働プロジェクトを立ち上げ、LINEが開発した【LINE SMART CITY GovTechプログラム】をベースに公式アカウントを開設し、【ガブテック】を成功させました。

そのアプリのコンテンツは、「福岡市の様々な広報」そして、「コロナなどの緊急情報」「最寄りの避難所」「道や公園の安全」などの防災関係や、他にも「燃えないゴミの日」「赤ちゃんとお出かけ」「あんしん給食管理」機能など、行政サービスとしての便利な情報がつまっています。

そして何よりも凄いのは2020年12月時点で登録者が174万人のアカウントとして成長していることです。LINEはこの【福岡市のガブテック】を成功例として、その他の自治体に向けても展開中です。

最後に、これから【ガブテック】は、アメリカでも問題となった、古いシステムを維持するだけの経費が予算の70%を占めていた時期があり、それをいかに新たなDXとして軌道修正するかが、今後の【ガブテック】のポイントです。

日本も「デジタル庁」をターニングポイントに、予算も含めて、市民に国民に、高齢者に優しいデジタル化を期待しています。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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