テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-63
AI(Artificial Intelligence)×デジタルトランスフォーメーション(DX)=AI革命③ ~AI革命は人類が育てるもの~

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2021年4月17日

在宅でオンライン試験を実現するAI

2021年3月22日の富士通のプレスリリースからですが、富士通は慶應医学教育統轄センターの協力のもと、「オンライン試験」における本人確認や不正検知などの課題を、先行する欧米で多くの導入実績があるオンライン自動試験監督システムなどで解決し、受験者や試験提供者にとって、安心かつ公平、効果的な「オンライン試験」の実現を目指す実証研究を2021年2月から3月にかけて実施しました。

実証研究の結果、被験者の学生が試験中にとった、横や下など他の方向を見る、画面から消えるなどの不審な行動全てを顔検出などの【AI】を使って自動検知でき、正常な行動と判別できることを確認しました。

また試験中の様子を記録される受験者の不安を軽減し、システムの理解促進につなげるために、事前に自動不正検知結果の活用方法の説明を十分に行い、不審行為を疑われる動作の例を明確に示す必要性があることを確認しました。

そして大きな成果として、自動採点により試験終了後すぐに採点結果を集計し、教員が実施する場合は一般的に約20分要する採点時間(10問×10秒×11名)を数分に短縮できたということです。

今後、

・どのような環境で可能か?自宅でその環境を受験者が準備できるか?

・ネットワークの信頼性とセキュリティ

・本人認証とカンニングや不正行為の防止

・不正を疑われた時の不正でないことを証明する方法

など、様々な課題が考えられます。

この課題を【AI】でどこまで解決し実用に漕ぎ着けることができるのか?
まだ実証実験の段階で障壁は多く高いですが、実現すれば教育の場・学校や大学のキャンパスや施設等のあり方が大きく変わると私は考えています。
今週も引き続き【AI】 について語らせていただきます。

AIのデジタルトランスフォーメーションという進化

近年【AI】は、驚きの発展をしています。
特に昨年は、【AI革命】といっても過言ではないほどに、【AI】における『DX』な出来事がありました。

それは、

・『GDP-3(ジーディーピィー・スリー)』

・『AlphaFold2(アルファフォールド・ツゥー)』

・『VisionTransformer(ヴィジョン・トランスフォーマー)』

などの【AI】によるプログラミング・イノベーションがあったからです。

特に『GDP-3』は、超高性能な【AI】で、個人的には歴史に残る発明だと思っています。
この『GDP-3』を簡単に説明をすると、先ずは「NLG(自然言語生成)モデル」といって、人が普通に話す言葉や文章を理解し、それをデータ処理するだけでなく、意味が通じる自然な言語として生成することが出来る技術のことを言います。

そして、『GDP-3』は、現在ウエブ上にある5兆語の言語を学習しているだけでなく、パラメータは、1750億といわれています。ちなみにパラメータとは、母数とか設定数という意味もありますが、この場合、外部からプログラミングに投入されるデータ数のことを言います。

この数字を聞くだけでも、スケールの大きさが分かってもらえると思いますが、この機能の凄さは既に実証済みで、昨年8月に報道もされたのですが、『GDP-3』が実験として生成した記事が、「ハッカーニュースサイト」で検索1位を獲得しました。

つまり日本では、ヤフーのトップニュースに出るような検索記事を、『GDP-3』に指示を出しただけで実現したのです。

また、この言語生成の凄いところは、例えば「Siri」は指示に対して間違いを反映した回答することはできませんが、『GDP-3』は、間違いを学習し反映することが出来るのです。

もちろん、それだけではありません。

他にも「自然言語」の指示でプログラミングが出来たり、指示設定の範囲で小説を書いたり、
原語以外にも楽譜の生成も可能で、曲を聞いただけで、ギターのタブ譜を書いたり、もちろん作曲も可能です。

とはいえ『GDP-3』にも問題があり、やはり人間のニュアンスや、言葉の意味を理解できません。つまり生成内容にオリジナリティはなく、処理スピードも遅いのが現状です。
また、私がよくテーマにする人権や倫理(エシカル)に関する学習や理解もありません。
つまりまだまだ人間の【自然知能(NI)】には勝てないということです。

更なる進化を促す「OpenAI」

それから、もう1つ付け加えなければならないことがあります。実は、この開発の立役者は、「OpenAI」というあのイーロンマスクが創設した団体で、現在、Microsoftが業務提携をしています。つまり今後も、「OpenAI」を耳にすることが多くなると思いますので、皆さんも覚えておいてください。

そして「OpenAI」は、今年1月に、『DALL-E(ダリ)』という次は画像生成ソフトを発表しました。今度は原語ではなく画像の生成です。もしも、昨年このコラムで【AI】を紹介していたら、先ほどの3つに加えて『ImageGPT』というプログラムをあげていました。

しかし『DALL-E(ダリ)』は、『ImageGPT』を上回る優れものでした。

これは私の想像ですが、この『DALL-E(ダリ)』は、早い段階で一般化する可能性が高いと思っています。もちろん、Microsoftとの業務提携という点もありますが、例えば、パワーポイントにこの【AI技術】が反映されれば、企画書やプレゼン資料が、言葉で指示するだけで簡単に作れ、夢も拡がります。

今回ご紹介した【AI】は、ほんの一握りです。

そして、本当に目が離せないのが今の【AI業界】です。それから、あまり知られてませんが、【AI】の世界特許申請では、富士通も含めて日本はトップです。

私は、これからの未来にとても期待していますが、孫正義さんが言われたように、【AI】が人類の「金の卵」なら、格差を生むものではなく、私たち人類が共に育て、ふ化させなければ意味がないと思います。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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