テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-9
ノット9 『教育(Education)×テック(Technology)= エドテック(EdTech)① ~教育イノベーション~

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2020年3月28日

2020年3月27日、萩生田文部科学省大臣は記者たちに、新学期からの学校再開について、「爆発的な患者急増は発生していないため、新たな要請などを行う状況には至っていないと考えている」と話されました。つまり現状では予定通りの再会のようです。

とはいえ、24日に公表されたガイドラインに従って、地域の感染実態や児童生徒の状況を現場で判断する意向に対しては、専門家の方々が言われように、私も現場の先生たちの負担が大きく心配です。また、萩生田大臣は、「授業の遅れを取り戻すための教職員の加配など、柔軟にサポートしていきたい」とも言われましたが、先の見えない警戒状況のまま、更なる現場判断を各学校、各先生に任せることが適切な判断なのか不安が高まります。とはいえ、政府も止むを得ない現状対応ではないかと思いますし、私も特別なアイデアがある訳でもなく、思いが巡ります・・・。

昨年4月1日から施行された【働き方改革】は、働く人びとが個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自身で「選択」できる働く大人たちの改革です。それならいっそのこと、学生たちが自由に教育を「選択」できる【学び方改革】なんていう、大人たちがこどもたちを振り回さない法案を作ったらどうでしょうか・・・。

今回のテーマ【エドテック】は、そんな【学び方改革】のヒントになるかもしれません。また、コロナパンデミックのような学校に行けない突然の状況になっても役立つことでしょう。

・デジタル教科書というエドテック

皆さんは【エドテック】をご存知ですか?

これは、約10年くらい前にアメリカで生まれた言葉で、教育(Education)とテック(Technology)を合わせた造語です。最近では、政府の成長戦略にも組み込まれ「教育ICT化を活用した教育イノベーション」のことを【エドテック】と呼びます。

そして、日本の教育は、この【エドテック】により大きく変わろうとしています。今回は、テクノロジーを活用した教育イノベーションの第一弾として「デジタル教科書」の導入についてお話します。

2020年4月から実施される「新学習指導要領」を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や学習補助を目的とした「学習者用デジタル教科書」が制度化され、小学校・中学校・高校・特別支援学校に導入されたのです。とはいえ、紙の教科書がなくなるのではなく、もちろん併用されるのですが、教科書と同じ内容は全てデジタル化され、また、政府のSDGsの環境的な配慮もあり、今後減っていくのは間違いないでしょう。

そして、2019年から導入された制度ですが、現状、授業時間の2分の1以下という制限や各地域、各学校のICT環境の整備や取り組みの問題もあり、全国の普及率は各県によってまだまだ大きな開きはあります。今後は、文科省だけでなく経済産業省の【未来の教室】の取り組みや、総務省の【リカレント教育等のICT化】などが連携され【エドテック】は持続可能な成長するジャンルです。

ちなみに、この「デジタル教科書」ですが、多くの機能がタブレットに搭載され、本当に便利です。一部紹介しておきます。

先ずは「文字や画像の拡大機能」「詩の朗読や英語の発音が分かる音声再生機能」「動画、アニメーションの視聴機能」「画面に線や文字を書ける書き込み機能」「正解を画面に提示して、自分の答えと比較できる正答比較機能」そして「印刷機能」など、今後は更に機能が増えていくでしょう。

私もこども時代に、デジタル教科書があればもっと勉強が好きになったかもしれませんが、それ以上に【エドテック】のイノベーションは、指導する先生方にもメリットがあると思います。現実に検証結果でも、生徒の集中力向上に効果があり、授業の記録や生徒の学習状況をデータとして閲覧でき、本来の目的である教育の質の向上に役立っているそうです。

今後は、教育の格差の解消、教育現場の効率化など高い期待が持てるといえます。

・デジタルコンテンツの可能性

 話は変わりますが、最近、出版社やデジタルブック販売のプラットホームを利用して『聴く本(オーディオブック)』というのが密かに流行り出しています。個人的には、活字離れなど少し抵抗があったのですが、ひょっとしたら「デジタル教科書」で学んだ学生たちにとっては、最適なリデザインなのかもしれません。また、YouTubeで教育コンテンツを楽しむ小中学生の現状も同様な現象のように思えてきました。

多様化するデジタルプラットフォームサービスも、いつか淘汰されると思っていましたが、それ以上に、親の思惑ではなく、「こどもたちの心・本音」「こどもたちの成長する真の姿」という消費者ニーズを、つかんだものだけが生き残る世界なのは、大人の社会もこどもの社会も変わらないと思います。とはいえ、【エドテック】により、水を得た魚のようなこどもたちが生まれ、社会という荒波にもまれても、明るく元気に泳ぐ、キッカケ作りになると、私は信じています。

次回は、4月から小学校の必修科目になる【プログラミング教育】についてお話します。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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