プロンプト(指示文)次第で、AI は“教師”にも“作家”にも“ガイド”にもなる!
なぜ今、「AI リテラシー」が求められるのか?
2025 年現在、「AI リテラシー」という言葉が、教育・行政・企業などあらゆる領域で急速
に存在感が増しています。
AI リテラシーとは、「AI を正しく理解し、活用し、その限界や倫理的(エシカル)問題も含めて扱える力」のことを指しますが、
コンピュータやネット(メディア)リテラシーの延長線ではなく、
「AI という“思考するツール”」に向き合うための、まったく新しい基本教養だと思っています。
私は以前、コラムで「エシカルテック」というテーマで AI の進化とともに倫理的(エシカ
ル)な車の免許のような資格が将来必要になると訴えましたが、その未来予想に一段と近づ
いて来ています。
その背景にあるのは、生成 AI(Generative AI)の急速な普及です。OpenAI の ChatGPT
を皮切りに、Google の Gemini、Anthropic の Claude などが続々と登場し、日本でも多く
の企業・自治体・学校で導入が進むなか、「AI をどう使いこなすか」が日常生活や仕事の
質を左右する時代になって来ています。
文部科学省は 2025 年 3 月、AI リテラシーを「情報活用能力」の中核と位置づけ、初等中
等教育での本格導入を検討すると発表(出典:文科省/Science Portal、2025 年 3 月 12 日)
しました。同時に、大学や企業でも、「生成 AI 時代に必要な教養」として AI 倫理・批判的
思考・プロンプト設計などを含むリテラシー教育がスタートしています。
AI リテラシーの 3 つの柱
「AI リテラシー」をより有意義に活用するには、私たち人間に3つの力が必要だと思って
ます。
① 理解する力→AI の仕組み(機械学習・生成アルゴリズム・バイアス)やその限界を知る力。
例えば、AI がなぜ「それっぽいけど誤った情報」を出すのかを説明できる。ちなみにこの
現象のことをハルシネーション(幻覚)といいますが、AI が学習したデータに誤った情報や
偏り(バイアス)が含まれたり、言葉の背後にある意味を理解していないため「ピンク色の
象が空を飛ぶ」というフレーズが繰り返されたデータをたまたまパターン認識することで、
事実と異なる文章を自信満々に生成するからです。
② 使いこなす力→適切なプロンプト(指示)を出す力、結果を活用する力。
例えば、学校のレポート作成、業務効率化、創作支援などに活かすことが出来る能力です。
これには、AI とコミュニケーションするプロンプト能力が必要となります。
③ エシカル(倫理)と判断力→AI の出力を鵜呑みにせず、社会的責任や倫理に照らして評価できる力。
例えば、AI が差別的な内容を出した表現した場合、それを見抜いて対応できる能力のこと
です。メディアリテラシーと同じ考え方で全てが正しいと信じないようにしなくてはいけ
ません。
「読み・書き・考える」の再定義
従来の「読み書きそろばん」にあたる基礎学力に、今後は「AI との対話力」が加わること
になります。 「AI リテラシー」とは、単なる“使い方の知識”ではなく、「人間と AI が共に
思考する」ための土台であり、“問いを持ち続ける力”そのものです。
とくに教育現場では、「AI に答えを求める力」よりも、「AI と共に問いを深める力」を重視
する方向へシフトしています。
AI を使う人が「考えるのをやめる」のではなく、「もっと考えるようになる」ことが、こ
れからの AI 時代に最も重要なリテラシーといえるでしょう。
企業・自治体・教育の導入事例も加速中!!
企業では、KDDI や NEC などが全社員向け AI リテラシー研修を導入(出典:日経クロス
テック、2025 年 4 月 17 日)や、自治体では、兵庫県・新潟県が AI 研修を職員必修に(出
典:IT メディア、2025 年 6 月 1 日)取り組みだしました。もちろん私の古巣、富士通も
同様です。
また、教育分野では、関西学院大学や東京学芸大学が AI リテラシー講座を設置し、文系・
理系を問わず全学生に提供しています。
プロンプト力を高めるレッスンをしましょう
AI に『富士山について説明して』と頼むとき。
あいまいなプロンプトで
プロンプト: 「富士山について教えて」と聞けば、
AI: 「富士山は日本で一番高い山で、標高は 3,776 メートルです。山梨県と静岡県の県境に
あり、日本の象徴として知られています」
と、基本的な情報がざっくり返ってくるだけです。
もっと具体的なプロンプトで聞けば、
プロンプト: 「富士山の地理、歴史、文化的な意味を、中学生向けにわかりやすく説明し
て」
AI: 「富士山は、日本で一番高い山(3,776 メートル)で、山梨県と静岡県の間にあります。
もともとは火山で、最後に噴火したのは 1707 年の宝永噴火です。富士山は昔から日本人に
とって特別な存在で、絵や詩にもよく登場します。今では登山や観光の名所としても人気
です」
すると、読み手のレベル(中学生)や求められる視点(地理・歴史・文化)に合わせた説
明に変わります。
クリエイティブなプロンプトでたずねると、
プロンプト: 「富士山が話しかけてきたように、自分の歴史を語るストーリーを書いてく
ださい」
AI: 「こんにちは、私は富士山。日本でいちばん背が高い山なんだ。ずっと昔、地面の奥
深くでグツグツと煮えたぎるマグマだった私が、空に向かって大きく噴き出したのは約 10
万年前のことさ…
。今では、たくさんの人が私を見に来るよ。みんなの心に残る存在にな
れて、うれしいんだ」
今度は AI が擬人化して「富士山の一人語り」を展開します。プロンプトで“文体・視点”も
変わります。
これからの社会では、「読み・書き・そろばん」みたいに、AI リテラシーが“基本の力”に
なると言われています。そして、プロンプトとは、AI に「どうしてほしいか」を伝えるた
めの【指示文であり、あなたの思いあるメッセージ】です。
AI は、プロンプトをもとに動く「超頭のいい相棒」です!プロンプトが上手になると、AI
が“最高のパートナー”になり、プロンプトをうまく書けるようになると、AI はあなたにぴ
ったりの答えやアイデアを出してくれます。
つまり、AI リテラシー=プロンプト力!
プロンプト次第で、AI は“教師”にも“作家”にも“ガイド”にもなるのです。
言葉で「なにがしたいか」「どうしてほしいか」を伝える力、つまり「考える力」「伝える
力」 「コミュニケーション力」が問われます。
これは、国語や英語の力にもつながるし、将来の仕事でも大事なスキルになります。
今後の展望(AI との“共創力”が問われる社会へ)
「AI が人間を超えるか」ではなく、「人間が AI とどう共に考えるか」という問いに、社会
は向き合い始めています。
AI リテラシーは、未来のすべての仕事・学び・生活の土台となる“21 世紀の新しい常識”で
す。
AI を“便利な道具”としてだけでなく、“知性のパートナー”として扱えるかどうか、
それが、AI 時代の個人や組織の「あり方」を左右する核心になるでしょう。
「AI リテラシー」とは、“AI にどう使われないか”を考える力であり、“AI をどう使って、
自分の力を拡張するか”を問い続ける素養です。
つまり AI という「新しい色鉛筆」を手にした私たちが、未来というキャンバスに夢を描く
ことなのです。
テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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