BTS×バイデン大統領が世界へ発信したアジア系ヘイト撲滅メッセージ
「STOP AAPI HETE」もう一つのコロナ問題
いつもはテック産業についてコラムを書いていますが、今回は特別編としてアジアンヘイトについて取り上げたいと思います。
実を言うと、私は「BTS(防弾少年団)」のことを知らなかったのですが、彼らが 5 月31 日 (日本 6 月 1 日)にホワイトハウスから特別招待を受け、バイデン大統領と対談したことで 存在を知りました。
BTS は、韓国人アーティストですが、2 年連続でグラミー賞にノミネートされ、インスタグ ラムは約6500 万人、昨年 9 月には国連で「コロナロストジェネレーション」のスピーチを するほど、世界で活躍し、アジアに貢献するアーティストです。また、このような形でアー ティストがホワイトハウスへ招待を受けるのは、私が調べた限りでは、世界初となる歴史的 にも快挙な出来事でした。面会に先立ち記者会見場に現れた彼らをジャンピエール報道官 は「ポップ界のスターBTS、ヒューヒュー」とかなり興奮気味に紹介していました。
そしてこの時、BTS とバイデン大統領が対談したテーマは『アジアンヘイト問題』です。
日本ではあまり報道されていませんが、5 月は「AANHPI(アジア系アメリカ人とハワイ先 住民・太平洋諸島民)ヘリテージマンス」であり、BTS のメンバーからもこのタイミングに 合わせて来れたことに意味があり、「AANHPI」のコミュニティと志を共にするために来た、とスピーチしていました。
バイデン大統領にとっても 5 月20 日にアジアンヘイトの対策を強化する
「新型コロナウイ ルス・ヘイトクライム法案」を成立させたタイミングでもあり、ベストマッチな対談だったのです。
新型コロナウイルス・ヘイトクライム法案の経緯
しかし、何故このような法案に至ったのかというと、一部のアメリカ人はこのヘイトクライ ムの背景にコロナの流行はアジア人のせいだという思いがあるからです。 そして、一部のアメリカ人がそう思うようになった背景には、トランプ元大統領の影響があ りました。
当初トランプ政権はコロナの危険性を過小評価し、科学的根拠に基づいたまん延防止政策を積極的に取らない政治を行い、自らの思惑の政治及び選挙戦略を優先する選択をしたからです。 そして、中国との対立構造を演出し、新型コロナウイルスとはあえて言わず「中国ウィルス」 「武漢ウィルス」と呼び続け、その頃からです。アジア系への暴力が頻発し始めたのは・・・。
とはいえ、これだけが問題ではありません。アメリカには歴史的な背景もあり、国内では中国人及びアジア人の移民問題、戦争では太平洋戦争・朝鮮戦争・ベトナム戦争、その後の植 民地問題など。とにかく様々な要因が新型コロナウイルスにより露見したともいえます。
ブラック・ライブ・マターからアジアンヘイトへ
皆さんも 2020 年の全米オープンの試合で、大坂なおみ選手がマスクでメッセージを伝えると宣言し、被害にあった黒人の方々の名前を試合ごとに着けていたのは記憶に新しいと思 いますが、当時からもアジア人たちはこの「ブラック・ライブス・マター(黒人の命も大切だ)」という黒人差別を解消するためのデモなどに多くの日本人、アジア人が連帯を示してきました。 しかし、アジアンヘイトの事件では、シアトルなど加害者が黒人であることも多く、人種差別における言葉にならない辛く深い思いが心に突き刺さります。
私の息子はこの 4 月からアメリカではありませんが海外へ留学しています。 こういった事件を目の当たりにすると気が気ではありません。 だからこそ、ブラックマターでバイデン陣営がメッセージしてきた「資本主義」から「人種主義」へを、他人任せではなく、今こそ地球市民一人一人が意識を持って取り組まなければ 人類の明日はないと私は痛切に思っています。
皆さんはどう思われますか?
次回へ続く
テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。
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