ヘルス(健康)×リテラシー(物事を適切に理解し活用)=ヘルスリテラシー(Health Literacy)1
テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-100

コラム

コロナ禍で気づいたリテラシー教育の重要性

その健康情報ホントに正しいですか?

私たちは日々生活する上で、さまざまな「健康に関する情報」を見聞きしています。
それは テレビ・ラジオだったり、新聞や本を読んだり、家族や友人から聞いたり、最近では SNS だったり。

しかし、その情報って本当に正しいですか?! そして、皆さんも実感されたと思いますが、「新型コロナウイルス」の情報は想像以上に錯綜し、ワクチンは打たない方がいいとか、コロナは○○に効果があるとか、PCR 検査の基 準値や方法、水際対策、また住居や学校での風評による差別問題等々、数えれば切りがあり ません。

私自身も正直、YouTube で見た情報に翻弄されたこともありました。
そういった経験も踏まえ、今回のテーマである『ヘルスリテラシー』は、私たちの身近な社会生活における

【健康(ヘルス)】問題にどう向き合うべきなのかを考える重要なキーワード であり、厚生労働省の「総合医療に係る情報発信等推進事業」でもあり、個人的には今後の 行政サービスにおいてもっとも期待するのが、このヘルスリテラシーです。 また、以前からコラムで取り上げて来た「情報リテラシー(メディアリテラシー)」も、この問題に大きく関係しています。

それは、【リテラシー】という情報をいかに適切に判断し活用する力を養うこともそうですが、実は SNS 等の誹謗中傷だけでなくデジタル化にともなう情報過多は、ストレスを発症させ、無力感・満足度の低下・期待値の増加など健康に悪影響を及ぼすといった側面もあります。特に年齢と共に PC やスマホが便利だと分かっていても、扱うことに抵抗を感じる、働く中高年や定年後の高齢者が駅や空港、病院などでキレやすく怒りを抑えられない問題もこの一つだと私は思っています。

ヘルスリテラシーの定義と 3 つの段階

ヘルスリテラシーは、コラムタイトルで示したように「ヘルス(健康)」と「リテラシー(物事を適切に判断し活用する)」を組み合わせた造語ですが、WHO ではヘルスリテラシーの 包括的な定義について、『健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、 能力であり、それによって、日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、ヘルスプロモーショ ンについて判断したり意思決定をしたりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させるこ とができるもの』と表現されています。

また、ヘルスリテラシーの権威のドン・ナットビーム氏(シドニー大学教授・日本ヘルスプロモーション学会顧問・順天堂大学客員教授)によると、ヘルスリテラシーを3つの段階に 分類しています。

1 機能的ヘルスリテラシー(基本レベル)

日常生活における読み書き能力をもとにした、健康や医療に関する情報を理解する力の こと。 ※病院で医師から聞いた説明の内容が理解出来る。薬局で購入した医薬品の説明書の内 容がわかる。健康に関する書籍や記事を読み内容がわかる。

2 伝達的・相互作用的ヘルスリテラシー(機能的より発展したレベル)

健康や医療に関する情報を自分で探したり、その情報を他人に伝達したり、自分で適用 しようとする力のこと。また様々なコミュニケーションにより情報を入手し、理解がで きる。健康に関する情報に関心があり、自身の意志で行動ができる。 (※友人などから病院や薬を勧められ、その情報を調べてから行動に移す。)私も主治医を親しい友人に紹介したりしています。

3 批判的ヘルスリテラシー(高度なレベル)

健康や医療に関する情報をうのみにせず、批判的な視点も含めて分析し、主体的に活用できる力。
健康を決定している社会経済的な要因について知った上で、政治的または社会的な活動ができる能力。
※例えば新型コロナウイルスの情報について自主的に調べ検証し、入手した情報を最適な方法や対策を社内、家庭内でシェアすることができる。
また、批判することを悪いことだと考えていませんか?
批判というと抵抗感がありますが、様々な情報の見解を見極 めることが大切です。

リテラシー教育不足の現状

日本人は、世界価値観調査でも明確ですが、新聞・雑誌・テレビなどマスメディアに関する 信頼度は 69.5%と高く、特に「テレビニュースを情報源となる頻度」の項目では、48 カ国 中1位(2021 年度調べ)で、マスメディアが国民生活に深く浸透しています。
つまりメディアの情報を批判的に見ることがないということです。現実的にもよく起こっ ている、テレビ局や新聞社の情報や見解が相違していても、多くの人は比較、批判すること なく信頼し、受け入れてしまうというリテラシー教育不足は大きな社会問題です。
情報の入手はできても、理解し、評価をし、調べ活用する能力が欠けているということは、 ヘルスリテラシー意識が低いため、「健康格差」が生まれるということです。
そこで私は、ヘルスリテラシーを高めるためにビジネスの基本でもある『5W1H』をお勧めします。

・When(いつ)・・・いつの情報なのか、見つけた情報が更新されず古くないのかを確認す る
・Where(どこで)・・・その情報はテレビなのか新聞なのか雑誌なのかインターネットの検索結果なのかをチェックする
・Who(だれが)・・・情報源が製薬会社なのか厚生労働省なのか医療機関なのか個人的な噂話が発信元なのかなど信頼性の高い情報をチョイスする
・What(何を)・・・それが医薬品なのか民間療法なのか医師によるアドバイスなのか具体的 な商品や処方に関する情報の詳細をチェックする
・Why(なぜ)・・・その情報が広告宣伝などの商業目的ではないのか、なぜその情報が発信されたのか目的を知る ・How(どのように)・・・そして具体的にどう取り組むのがベストなのかを知り行動に移す

この『5W1H』で第一段階のヘルスリテラシーとして取り組んでみてください。
ヘルスリテラシー最終目標は、生涯を通じて社会生活の質を維持し、向上させ、持続可能な日常生活を幸せに送ることだと私は考えます。

次回へ続く

テック産業アナリスト のと裕行でした。 
ありがとうございました。

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