ロシアのウクライナ侵攻×通貨テック=世界通貨戦争の勃発1
テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-86

コラム

通貨から見える世界情勢

世界通貨戦争が始まった?!

私がこのコラムを、2020 年 1 月 23 日、最初に始めた時
コラム第1号 のテーマに選んだのは
【通貨 テック】でした。
そしてその際に「リブラ通貨」と金融行政方針を絡め、
グローバルマーケットに於ける2つの未来予想をしました。
その後、コラム 35 号(2020 年 9 月 26 日)で、その未来予想の検証結果として、
1 つ目の『デジタル化の加速』は想定外の速さで実現しまし たが、
2 つ目の『世界通貨戦争が始まる』に関しては半々で、単にアメリカと中国が 2 極化 の争いとなっただけで、予想は大きく外したと感じていました。
しかし、今回のロシアのウ クライナ侵攻という世界史に残る出来事を目の当たりにして、いよいよ【世界通貨戦争】が 想像以上のスケールで勃発したと驚きを隠せませんでした。

欧米株は反落!金と暗号通貨は高騰?!

先ずは、どうして通貨戦争なのかを説明する前に金融マーケットの動きを見てみましょう。
【金】が高騰しています。この高騰には歴史的背景に基づいた深い意味があります。
地金大手によると過去 30 年の最安値だった 1999 年の 1 グラム 962 円と比較すると、
3 月2日の時点で 1 グラム 7,928 円という約 8.2 倍の過去最高額となりました。
また、【欧米株】は軒並み安となり日経平均株価でも反落し、金への投資需要が高まっています。
一方、【暗号通貨】は、ウクライナ侵攻開始から 6 日を迎えた 3 月 1 日、朝には、
それまでの24時間との比較でビットコインは約 13%急騰し、第 2 位のイーサリアムは 9%上昇、その他の 主要な XRP などの暗号通貨も、5%~10%上昇しました。
そして、各国がロシアに経済制裁を発動し始めた結果、ロシアは世界の金融システムから孤立し、ルーブルは史上最安値まで急落しました。
また、海外の記事によるとロシアのルーブルとウクライナ通貨を用いた暗号通貨の取引が
急増し、特にビットコインの取引が急増したそうです。同時にロシアが制裁を逃れるために暗号通貨を使おうとしている動きがあるため、当局ではロシア人、ベルーラ人の資産凍結を申請しました。
1 日時点ですが、ビットコインの時価総額は約 8200 億ドルとなり、ロシアのルーブルの時価総額 6380 億ドルを上回っています。

歴史的な背景から考察する「紙幣」VS「金」の戦い

私はこの戦争の背景にもう一つの通貨戦争があると申し上げましたが、その説明をさせて 頂きます。
時代は西暦 392 年のローマ帝国がキリスト教を国教化した時まで遡りますが、
ローマ帝国が分割統治をおこなったことにより1054 年にはキリスト教が西と東に分かれました。ご存じの通り西側は「カトリック」、東側は「正教会」に分かれ、更に西は宗教改革により「プロテスタント」が生まれ、そして 1534 年には「イエズス会」が誕生し現代の【通貨・紙幣 の仕組み】が完成しました。 そして、東側は正教会から「ロシア正教会」となり貿易や様々な政策により領土を広げ、今のロシアとなっていきますが、
実は西側よりも発展した経緯があり、それが【金貨】をベース とした大量の【金】を保有する国家だからです。
そして、この現代の「ロシア正教会」と仲が良く、宗教的な共産主義のパートナーシップをするのがプーチンです。

米中の争いから「米」VS「中国・ロシア連合」そして、欧米の分裂

ここからは私の想像になりますが、もしもロシアが今でも大量の金を保有したとして、
これを売却すれば紙幣の価値は暴落します。つまりこれが通貨を使ったロシアの戦術です。 そして更に、金が高騰したこのタイミングに国家ではなく宗教団体として売却することで、
8倍の通貨を手にしたとしたら、経済的な制裁はロシアに響かないかもしれません。
ましてや 共産主義を目指すプーチンにとって、世界一の資源国家のロシアにとって、
アメリカ・ NATO が攻めてこない背景を認識した侵攻なのです。
ここでもう一つ気になるのが中国の存在です。
アメリカがアメリカファースト政策になったことにより、大きく変化したのが中国とロシアの経済的関係です。
私が一番注目するのは 2000 年頃まで中国とロシアの間で取引をするのに使われた通貨「米ドル」ですが、現在はユーロを基軸の通貨として使い始めたことです。
EU にとってロシアは、今や電気エネルギーの約 60%の資源に依存しています。
カーボンニュートラルもパリ協定もロシアと貿易が出来なければ実現不可能だということです。 国連が今の現状を回避できない事情も踏まえるとウクライナ侵攻という「通貨戦争」の正体 も見えてきます。
続きは次回をお待ちください。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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