介護は ME ではなく WE で取り組む問題
介護問題を改めて見直すタイミング
日本は、2019 年から 65 歳以上の人口が既に 3588 万人を超え、国民の約 4 人に 1 人が高齢 者となっています。また、2040 年には、団塊ジュニア世代が 65 歳以上となり高齢人口がピ ークを迎えると、介護ニーズの高い 85 歳以上の人口の増加、高齢者の単独世帯や夫婦のみ 世帯の増加にともない介護のサービスの多様化、更なる重要性が増しています。
そして、私は両親の介護をして来た経験もあり「介護問題」についても何度かコラムで取り 上げて来ましたが、
現状のコロナ禍や認知症問題なども踏まえ、今こそ住み慣れた地域で生 きがいを持って安心安全に暮らすことができる「介護問題」を見つめ直すタイミングではな いかと思い今回はこの問題を取り上げました。
また、私が住む大阪では、少子高齢化にともない特に「ひとり暮らし」の高齢者世帯が全国 に比べて高い割合ですが、これらは、それぞれの家庭の問題でもありますが、私は地域社会 としてのケアシステムや地域の介護保険事業の問題でもあり、しいては国民ひとりひとり が幸せに暮らすための社会経済という法整備にも関係する政治的問題だと認識しています。
つまり ME(個人の問題)として抱え込まずに、WE(私たち社会の問題)として、受け止めら れる社会づくりを目指すことが「介護問題」なのです。
6つの介護問題
介護をどのように行うかをめぐって家庭内トラブルになる時代です。
在宅ケアなのか施設 に入居がベストなのかなど話し合わなければならない選択の前に、
介護で起こり得る可能 性のある 6 つの問題点をご紹介します。
1 介護難民・・・
介護が必要であると認定され、介護を受けたいのに受けられない 65 歳 以上の高齢者のことを「介護難民」といいます。これには 2 つの理由があり、条件の合 う施設が不足してる場合と介護に携わる従業員不足の問題です。
ちなみに 2025 年には全国で約 43 万人が介護難民になる可能性があると予測が発表さ れています。 国の対策としては地域包括ケアシステムを構築し、地方自治体の「地域包括支援センタ ー」が中心となり相談窓口となっています。
2 老老介護・認認介護・・・
読んで字のごとくですが、「老老介護」は、65 歳以上の高齢者 が 65 歳以上の高齢者を介護することで、「認認介護」は、認知症の方が認知症と気づかず介護をする場合です。
これには 2 つの理由があると言われ、医療の進歩にともない日 本人の平均寿命が延び、夫婦ともに高齢、親が高齢で子どもも高齢化となるケースが増 えたことと、親と子が別居する核家族が増えたことが原因だと言われています。
3 高齢者の虐待問題・・・
この問題は介護における介護者のストレスが一番の問題だと言 われています。また、肉体的な暴力だけでなく、認知症など医療行為が必要な場合に受 けさせないことも虐待になります。 またこの問題は、高齢者の居宅の場合と養介護施設の場合と両方で起こりなんと共に増 加傾向にあります。
4 高齢者のひとり暮らし問題・・・
高齢者のひとり暮らしの場合、認知症になっても気づけ ず、周りの方にも気づいてもらえない傾向があり、
悪徳な訪問販売による詐欺にあうな どの詐欺のリスクも高まります。
また、家族や知人とのコミュニケーションが少なく生 活意欲がなくなるのも社会的な問題です。
早い段階から同居することでスムーズに介護 が可能となります。
5 高齢者の孤独死問題・・・
核家族化が進み、ひとり暮らしの高齢者が増え、家で倒れて も誰にも気づかれず、病院に運ばれることもなく孤独死するケースが増えています。
遠方であれば電話でも構いません。定期的な連絡、コミュニケーションが重要となりま す。
6 成年後見人トラブル問題・・・
認知症などで判断力が衰えてしまった人のために、家庭裁 判所が「成年後見人」を選んで被後見人を保護援助する制度が「成年後見制度」ですが、 その権限を乱用し相続争い等に発展するケースが増えてきています。回避するためにも 弁護士や税理士といった専門家を入れトラブル回避をしましょう。
以上が介護問題の代表例です。各問題にどのように対処するのかあらかじめ人生を見据え て考えておきましょう。
共生と予防を両輪とした介護地域づくり
冒頭でも申し上げましたが、これは家族だけの問題ではありません。
国、地方自治体、政治的介入が必要な問題です。
そのためにも介護における予防施策とひと り暮らしのだけでなくあらゆるライフスタイルに応じた共生を見据えた地域社会づくりが 必要です。
ひとりや家族だけで抱え込まなくても済むような持続可能な制度、常に現場対応の更新、 ICT などの基盤整備などの取り組みが必要となります。
次回、大阪編へ続く
テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。
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