通信サービス(ミリ波・5G)×DX(デジタルトランスフォーメーション)=電波オークションの導入!
テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-106

コラム

遂に総務省が重い腰をあげた通信業界の DX

日本でも導入が決まった電波オークション

2022 年 9 月 28 日、総務省が通信サービスに使う電波をめぐり【オークション方式】の導 入する方針を発表した。
今まで日本における電波利用権は、テレビ放送が中心となり長きに わたり、一般事業者に明け渡すことはありませんでした。

どれだけ遅れてるかというと、ア メリカでは既に約 30 年前からオークション方式が導入され、経済開発機構 38 の加盟国の 中で導入されてなかったのは日本だけです。ちなみにアジアで導入していない国の代表は、 中国と北朝鮮です。 専門家の意見を参考にすると、常に懸念されてきたのは高額入札による、消費者への高額負 担ですが、欧米でも巨額の落札はありましたが、未導入の日本よりはるかに低い料金プラン です。そして、私が何よりも評価したいのは、事業者の透明性です。

また、この取り組みが世界経済に大きく貢献したことを証明したのが、2020 年のノーベル 経済学賞です。受賞したのは、2 人の研究者「ポール・ミルグロム氏」と「ロバート・ウィ ルソン氏」ですが、電波の周波数の割り当てなどに使われる電波オークションの制度設計や 実用化が評価され見事、受賞されました。

ミリ波とは?スマート農業に活用可能??

電波は周波数により様々な活用方法、そしてメリット・デメリットがありますが、今回のミリ波(EHF:Extra High Frequency)には、どんな特徴があるのでしょうか。 ミリ波の波長は、1mm~10mmと非常に短く、マイクロ波と同様に強い直進性があるため、大きな情報量を伝送することができます。ただし、悪天候時による雨や霧の影響を強く 受け遠くへは届かないというデメリットもあります。 しかし、ミリ波をセンサーとして活用すれば、通常のセンサーよりも雨や雪などの状況でも、 遠くまで検出することが可能です。また、ミリ波は光ではなく電波なので、トンネルのよう に照度が急激に変化する環境でも、明るさに左右されず検出できる特性もあります。 そのため、比較的短距離の無線アクセス通信や画像伝送システム、簡易無線、自動車衝突防 止レーダー等に利用されている他、電波望遠鏡による天文観測にも使われています。

具体的に例をあげると、耐環境性があり高精度な特長を活かし、道路や交差点にミリ波セン シング機能を追加することで、自動車の交通量を計測するトラフィックモニタリングだっ たり、ナビゲーションによる自動運転の機能としても活用可能です。

それから、前回コラムでも取り上げた「スマート農業」によるドローンや AI ロボットの活 用にも期待が高まります。
また、スマートフォンなどの 5G においてもミリ波は、伝送情報量の多さに期待されていて、 今までの移動通信には使用されていない周波数帯のため、駅やイベント会場など一部のネ ットワークを強化するといった使い方にも長けていて、従来のアンテナに比べ設置が容易 で安価なのもメリットです。とはいえ、5G 対応として通信距離が短いため、基地局を多く 設置しないといけないデメリットもあります。 しかし、スポーツ競技場など、マルチアングルで選手の動きを追ったり、複数のスポーツを 同時にライブ中継したりといった観戦方法もミリ波ならではの特性です。

通信サービスの DX 化のためには

電波には9つの周波数帯があります。
超長波(VLF:Very Low Frequency/地表面に沿って低い山も越え、海底にも対応)・長 波(LF:Low Frequency/日本では船舶や航空機用)・中波(MF:Medium Frequency/ AM ラジオやアマチュア無線)・短波(HF:High Frequency/国際船舶や航空、国際放送)・ 超短波(VHF:Very High Frequency/FM、警察や消防無線)・極超短波(UHF:Ultra(ウ ルトラ) High Frequency/携帯電話や地デジ)・マイクロ波(SHF:Super High Frequency /衛星通信、気象レーダー)・ミリ波(EHF:Extra High Frequency)・サブミリ波です。 それぞれ特性があり、様々な事業化が行われていますが、日本でオークションという一般事 業者に門が開かれたのは、未だたった 1 つです。

それに、専門家によると、現状のテレビ局に忖度された電波の割り当てに対して区画整理を すれば、チャンネルを 13 から 19 チャンネルにまとめ増やしたとしても、更に主要3社(ド コモ・KDDI・ソフトバンク)と同等な 200MHz の領域を空けることが可能となり、新たな ビジネス化の可能性も否めません。
各国に見習い電波オークションを広域化することで、国庫収入が潤うことも間違いないの に、何故こんなにも日本はためらっていたのでしょうか・・・。

未来に向けた日本の DX を実現するためにも、電波という目に見えない領域を、国民のため経済のため、そろそろ見えるように開放するべきだと私は考えます。

テック産業アナリスト のと裕行でした。 
ありがとうございました。

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