AI(人工知能)から AGI(汎用人工知能)の時代へ2045年にシンギュラリティに到達? それとも 10 年後⁇
インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)2023 が京都で開催
国連が主催するインターネット・ガバナンス・フォーラム、通称 IGF が今年は、日本の京都で
2023 年 10 月 8 日から 5 日間、開催されました。
世界中から IT、テック産業のエンジニアや学者らが約 5000 人参加し、
AI という人類の未来のテクノロジーについて議論が交わされました。
日本からは岸田文雄首相、 鈴木淳司総務大臣、 河野太郎デジタル大臣が参加し、
今年の 5 月に広島市で開催された G7 の首脳声明にあった「広島 AI プロセス」などの国際的なルール
作りやネット管理の在り方を様々な専門家からの提言や、 未来企業の展示会もあり、
有意義な内容だったと思います。
個人的には、 テーマセッションの一つとなったウクライナ侵攻で高まる 「スプリンターネット」が興味深い内容でした。この件に関しては後日、改めてコラムにしたいと思います。
また、タイミングを合わせたのか、その直前に開催されたソフトバンク・ワールド(10 月3日~6 日)の法人イベントに孫正義さんが登壇し、 未来のテクノロジーの主流は AI(Artificial Intelligence)ではなく、AGI(Artificial General Intelligence)に変わると言及しました。
AGI について簡単に説明すると、今までの様な専門的ジャンルの AI ではなく、
これからは役割が限定されず、様々な役割や課題を処理できる汎用型 AI、つまり自律性があり、より
人間に近く、孫さんの言葉を借りれば、人間よりも 10 倍の知能を持つ新たなテクノロジー
『AGI(汎用人工知能)』といいます。
2045 年問題。シンギュラリティは来るのか?
みなさんは、 『シンギュラリティ』という言葉をご存じですか?
これは、アメリカの発明家レイ・カーツワイル氏の未来予測に由来する言葉で、AI などの
テクノロジーが近い将来、 人類の知識を超える転換点により、 人間の生活に大きな変化が起
こる概念のことです。そして、カーツワイル氏は、この人類の転換点が 2045 年に訪れると
予測しています。
ただし、 今まで人類は AI を人間に近い、 または近づくテクノロジーと表現して来ましたが、
シンギュラリティの概念では、 人間を超えるという表現に変わりましたが、 この考えに感覚
的に恐怖心が芽生えるのも事実です。
孫正義さんも講演の中で、AGI について「10 年後に人間の 1 万倍のニューロン、それは人間対猿レベル
ではなく、 人間が金魚くらいのニューロンの差が生まれる」 と説明しました。
しかし、カーツワイル氏は、この転換点について、 【人工知能と人間の知能が融合する日】
と定義し、全ては人類の進化の過程だと指摘しています。
確かに今でも AI により仕事が無くなるとか、テクノロジーが暴走し人間の尊厳を奪うので
はと想像する人が多いのも事実です。 しかし、 人類のテクノロジーの歴史を考えてみてくだ
さい。例えば、開発当初、車や飛行機も同じ恐れを感じてきました・・・。
馬を扱う人、 鉄道関係者は仕事が無くなると暴動を起こしたり、 飛行機は落ちる可能性があ
り危険な乗り物だと、 今では考えられない議論も交わされています。 とはいえ今、 全ては便
利なテクノロジーとして活用しています。軍事目的で作られたインターネットに関しても同様です。
エシカルテックという倫理 AGI の開発が必要である
特に日本は、AI に対する理解が低いのかもしれません。
調査会社のデータによると、現在 AI を何らかの形で活用する企業がアメリカが 51%に対
し、日本は 7%しかありません。ソフトバンクのような AI に関する特許出願が 1 万件を超
える企業は未来への期待は高まるかもしれませんが、一般企業の理解には時間がかかりそ
うです。
そこで、私から一つ提案なんですが、何かと話題の、言語生成 AI の「GPT」を活用する日
本人は多いです。 しかし、 それを企業のお問合せセンターやマニュアル対応などに切り替え
る AI 活用はまだまだ先です。確かにコールセンターで働く人にとっては脅威かもしれませ
ん。そんな「GPT」ですが、既に医師免許と弁護士資格の試験に合格したのをご存じですか?
未来に向けた AGI の汎用性、可能性は、計り知れないものがあるのは事実です。とはいえ
全ての汎用性ではなく、 先ずは、 医療と法律に関する分野で AI ではなく AGI を進化させる
のはいかがでしょうか。 手術の進化や法律相談で的確な対応を拒否する人はいません。 高齢
化に向かう日本人にとってこれらの分野は AGI に最適な気がします。とはいえ、
私が思う本当の解決方法は、人類と AI の【法整備】の問題ではないかと思います。
また、それらを開発、 活用する人間になんらかの法的な資格が必要だと思います。
以前コラムで、車の免許のようなエシカル資格と表現しました。
そして、倫理(エシカル)を取り入れた、AGI に守らせる法律、それを理解し活用、開発する
人間の法律を定めることが、近道ではないでしょうか。これは 2045 年を待つのではなく今
から進めるべきだと思います。
最後に、 AGI により機械に管理されるとはやはり思いません。 より人間らしく、 自然環境と
共存することが求められる未来だと私は信じています。
テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。
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