テック産業アナリスト・のと裕行のライフイノベーションコラム#3
ノット3『Facebookのlibra(リブラ)通貨でお金はどう変わる?③』

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2020年2月8日

2月5日、フェイスブック ジャパンは、大阪府と包括連携協定を締結しました。フェイスブック ジャパンとしても都道府県レベルは初の協定で、今まで取り組んでいた「地方活性化支援プログラム」を活用し、「つながることで、今日の課題を明日の機会に」をテーマに、Facebookやインスタグラムの強みであるコミュニティ力やテクノロジー(テック)を活用し、府民のサービス向上や府域の成長・発展を支援する。

先ずは、中小ビジネス向け、観光ビジネスセミナー「その先へWithFacebook大阪府」と行政職員向けの「情報リテラシー」セミナーを3月に開催されるそうです。

日本では、Facebookが情報リテラシーに取り組んでいます。とても楽しみです。

今回のコラムのは、昨年6月に発表したFacebookの「リブラ通貨」の本当の狙いのパート3になります。

・「リブラ」の現実と“通貨”の未来

ここで、Facebookの表の顔ばかりお伝えしたので、あえて裏の顔も紹介したいと思います。

疑惑のナンバーワンは、やはり「Facebookの最大8700万人の個人情報が2016年の大統領選挙で悪用されたと噂されるケンブリッジ・アナリティカ問題」です。既に廃業となった政治コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカが、Facebookのサイトからゲームアプリを使い不適切な方法で個人情報を収集し、それを大統領選挙に悪用した結果、トランプ氏が当選したのではないかと言われる疑惑です。しかし、Facebookが直接関与したのかどうかも疑惑のままですが、2012年から米連邦取引委員会(FTC)に指摘されてきた流れもあり、この事件後、何と!和解金としてFTCに罰金約5400億円を支払っています。お金も大金ですが疑惑のスケールも大きいです(笑)これによりFacebookを良く思っていない議員さんも多く、マーク・ザッカーバーグ氏がやること成すこと反対して、1章の内容に繋がっているのです。

そして、この人物の話は、詳しくどこかで改めますが、現在トランプ政権のテクノロジー顧問の肩書を持ち、大統領選挙の際にシリコンバレーがトランプ氏を反対する中、唯一支持派に回り当選させたと言われる「ピーターティール」という投資家がいるのですが、この人物こそが初期のFacebookに投資し、数年前までFacebookの外部役員をしていました。今は既にFacebookとの縁は切れ「ペイパル(リブラ・アソシエーションのメンバーでしたが、現在は外れています)」を立ち上げていますが、彼は政治の世界では、「影の大統領」と言われています。ひょっとしたら陰でFacebookも繋がっているのか、疑惑も広がるところですが、真実は次の大統領選挙で見えてくるのではないかと思います。

個人情報の件は他にもあり「ハッカーによる攻撃で2900万人分の個人情報が流出したセキュリティ問題」、広告関係では「Facebookが広告効果を水増しして代理店から提訴された問題」、システム関係では「グーグル・プラスで50万人のユーザーデータが外部開発者に閲覧可能になっていた問題」、「そして、その事実を半年以上公表しなかったモラル問題」、「グーグルのスマホアプリが位置情報をオフにしてもユーザーの居場所をグーグルサーバーに送り続けてた問題」、「Facebookで、いいね!を押すと押した人の個人情報を勝手に収集していた問題(こちらも訴訟となりました)」などなどこれ以外にもたくさんの問題があります。

しかし、日本ではあまり一般的の方に知れ渡ってないのも現状で、政治的にもやっと最近、テック産業の規制問題が取り上げられるようになりましたが、アメリカ議会では約15年以上前から政治の大きな問題として、リベラル派と保守派での対立が深まっています。また、EUでは更にさまざまな出来事があり厳格な規制を行ってますが、印象的には、政治経済の問題だけではなく、個人情報は人権問題としても政治家たちは躍起になり、「リブラ」に関しての圧力も厳しい現実です。

そして「リブラ通貨」に於ける一番の問題点とされているのが、マネーロンダリング(資金洗浄)です。これは、違法取引、身代金、脱税、詐欺、等々の犯罪行為によって得た現金の出どころを消してしまう行為に、「リブラ」を利用する犯罪が増えるのではないかとの指摘を、金融活動作業部会(FATF)から受けており、顧客確認(KYC)規制の対策にリブラ・アソシエーションは、システムなどさまざまな対策を検討開発しているのです。

こんな話を聞くとダークヒーローに感じる「リブラ通貨」ですが、日本の利用は果たしてどうでしょうか。結果的には米国の対応次第で日本での活用方法が決まるのかもしれませんが、「リブラ」自体のスタートも2020年中に困難だと思います。現実的には2022~23年あたりではないでしょうか。というよりも中国のアリババ集団のアリペイのように海外からの利用者の要望に応え、やも得ず広がると私は見ています(笑)。

どちらにしても、日本ではまだまだ解決しなければならない通貨問題があります。それは「仮想通貨(暗号資産)」の法的問題です。意外と知られてないですが、「仮想通貨(暗号資産)」は、政治家への献金が規制対象外だとご存知ですか?政治資金規正法が禁じる「金銭及び有価証券」に、「仮想通貨」は該当しない判断が下りました。とはいえ、徐々に解決されるはずであろうこのアンタッチャブルな問題は、海外のマスコミがいみじくも、米ドルではなく市場の約60%が円建てで取引される「日本はビットコインパラダイス!」だと表現した真意を、私たち一般人は知ることなく、嵐が過ぎ去った後に事後報告を聞くことになるでしょう。ただし、私はこの問題を追及し改めてコラムにしたいと思っています。

さて、マーク・ザッカーバーグ氏が米議会で語った「通貨ではなく国際的な決済システムを構築するのが目的」だという思いは、国外で働き祖国に送金する人や、海外企業と仕事する人に「リブラ」は確かに便利ですし、その言葉を信じたいですが、現実には、ペイシステムが出遅れている経営戦略でないかと批判する声もあります。

とはいえ、米議会や各国の政府がこの「リブラ」を阻止しようとしても、規制する具体案すら示せない金融当局の現状では、例え「リブラ」が実現しなかったとしても、第二、第三の「リブラ」が現れ、ヒーローかどうかは別にしても、国境を越えた「世界通貨」が誕生するのは目に見えています。

同じくマーク・ザッカーバーグ氏が米議会で説明した「米当局の承認が得られなければリブラをスタートさせるつもりはない」のメッセージは、米ドルを基準に戦略を推進する意向だけではなく、世界のリーダーシップを取るために、「通貨」という武器を使い世界戦争の宣言をしてるようにも私には聞こえ、深読みしてしまいます。

もし個人的に彼にアドバイスするなら、そこまで熱くならず経営者として、例えばFacebookの株価を基準に、そしてFacebookペイの代わりに、これだけ話題になったのだから先ずはFacebookグループ内から展開すれば、経営効果もあり解決するのではとも思います(笑)。やはり新たな世界帝国を築こうとするリーダーたちの想いは私には理解できないのかもしれません。

そして、私のこのテーマの結論は、「世界の暗号通貨がスピードアップした」です。

あくまでも仮説ストーリですが、世界の金融当局・中央銀行が、「リブラ」という地球規模の目に見えない兵器(通貨)の存在を知り、表では反対し必要ないと異論を唱え、裏ではそれらに対抗する兵器(通貨)を各国が慌てて開発を始め、そしてどの国と同盟を組むのか、どこを侵略するのかを隣国や世界情勢を見て戦略を練りながらも、スピーディーに解決してくれる新たな自国のヒーロー(通貨)を誕生させ、戦いに備えているです。

 現実にスピードアップはたった半年で、中国は人民銀行を通じてデジタル人民元の発行を発表し、「リブラ」阻止に全力をあげているフランス、ドイツを中心に、欧州でもユーロのデジタル化の構想が浮上し、米国は規制法律を定め、日本でもテック産業や政府が取り組み始めています。

今もFacebookが開けたパンドラの箱は、各国への【挑戦】と世界人類に向けられた【メッセージ】として広がり続けています。それはある意味、私たちに対して、他人任せではなく、あなたがどう感じ、何を求めていくのか選択の自由を与え、考える間もなく答えを求め責められているのです。

 さあ、あなたはこれからの時代をどう選択しますか?そして、あなたは「あなたの通貨(ヒーロー)」を信じますか?

 このテーマは、まだまだ終わりません。私も追いかけてコラムに書かせて頂く予定です。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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