2020年5月30日
コロナの影響はこんなところにも・・・!?
2020年5月22日の日経新聞の電子版に『オンライン診療、LINEに続け 新興勢が参入』と出ていました。前回のコラムでも取り上げたオンライン診療の波が加速しているようです。記事には「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、新興企業を中心にオンライン診療分野への参入が相次いでいる。台風の目となるLINEのほか、医療関連企業も手がける計画だ。4月に初診でも診療が可能になり、オンライン診療を届け出た医療機関が従来の10倍以上になったことが背景にある。多様な企業の参入で患者側の選択肢が増え、医療現場に変革を促しそうだ」とあり、【ヘルステック】関連の株価にも一時影響を及ぼすほどでした。
厚生労働省によれば、今月だけで約13,000医療関係施設がオンラインや電話での診療に対応することになったそうです。そして今後は、楽天、ヤフー、ソフトバンク、NTTドコモなどの大手のテック産業だけではなく、スタートアップやベンチャーの参入が予想され、医療に大きなイノベーションが起こるでしょう。そして、この動きが結果的に高齢化や医療費負担などの解決策となるのではと私は、期待しています。
孫子の故事に『呉越同舟(ごえつどうしゅう)』という四字熟語がありますが、コロナという世界の敵に対しては、その教えの通り、たとえ仲が悪く競争相手や敵味方だったとしても、同じ災難や利害が一致すれば『協力』し助け合うことが、国や世界を守る新たな時代だと願っています。
今回のコラムは【ヘルステック】の枠を越えた世界で最も気になるコロナエフェクトをご紹介します。
想定外の『協力』開発
実は、新型コロナウイルスの影響によりテック産業の世界では、大きなデジタルトランスフォーメーションが起こっています。
それは、GoogleとAppleが発表した新型コロナウイルス対策の「Contact Tracing(コンタクトトレーシング・接触追跡)」の『協力』開発です。皆さん、これを単なる共同開発のお金儲けだと思わないでください。私はあえて、『協力』開発と申し上げたのには意味があります。私もテック産業に関わらせて頂いておりますが、これはありえないコラボレーションなんです。
今、両社の元に世界中から有志のソフトウェア開発者やCivicTech(シビックテック)という市民が自らの意志で集まり、この開発にあたっていす。その中にはもちろん日本人もいます。ひょっとしたら、いつかハリウッド映画になるかもしれないくらいドラマチックな出来事です。
新型コロナウイルスの第2波、第3波を抑える対策という世界の問題であるコロナ禍に対して、GoogleとAppleが協力することで、世界の約30億人以上のスマートフォンユーザーに影響します。つまりこれは、大きな意義のある『ワンワールド』プロジェクトです。
そして、その開発のポイントは以下の3つです。
① iOSとAndroidのどちらでも同様に動く共通のAIP(アプリ開発のためのOS基盤)である
② この接触追跡アプリの機能をOSそのものに組み込む、つまりアプリをインストール不要
③ 利用者のプライバシーを最大限に尊重する
★地球イメージ
コロナと共存する世界が終わるまで
特にこの3つ目の個人情報の扱いをどうするかが大きなポイントです。中国と韓国は、プライバシーを犠牲にするやり方で、感染者をGPSの位置情報を使って外出や接触を監視し、問題があると私は思っています。
開発の方向性は、シンガポール政府が3月20日より導入した「コンタクトトレーシング『Trace Together』」というアプリに近く、「スマートフォンを持った者同士が、長時間一定より近い距離にいた」という状況のみを、ブルーツルース(無線通信技術)の技術を使って、スマートフォンに情報が記録させ、そして、このアプリを使ってる人に感染の事実が確認された場合のみ、利用者に濃厚接触があったことの通知がいき、過去14日間に濃厚接触者のリストがスマートフォンにアップロードされる仕組みです。
ちなみにシンガポールではこのアプリを義務付けてる訳ではなく、結果的には意識を高める国を守るアプリとなり世界から評価されています。
現在、日本では、竹本IT担当大臣いわく、国民感情と個人情報保護への配慮を懸念しながらもスピーディーに民間団体と実用実験中です。
以前のコラムで紹介した経済学者のジャック・アタリさんがコロナアフターについて語った「『協力』は競争よりも価値があり人類は一つであることを理解すべきだ」というメッセージが私たちの未来に重くのしかかって来ます。
次回は高齢化をテーマに【ヘルステック】をご紹介します。
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