テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-19
コラム19 健康・医療(Health・Medical)×テック(Technology)= ヘルステック③ 2025年問題、解決のカギ

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2020年6月6日

2020年6月5日の日経新聞に出生率の低下が記事になりました。内容は「厚生労働省が5日発表した2019年の人口動態統計によると、1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.36となり、前年から0.06ポイント下がった。4年連続の低下で07年以来12年ぶりの低水準になった。生まれた子どもの数(出生数)は過去最少の86万5234人に落ち込んだ。少子化が政府見通しを上回るペースで加速している」でした。

 現在の人口バランスは、0~14歳までの年少人口は1542万人(12.2%)・15~64歳の生産年齢人口7545万人(59.7%)・64歳以上の高齢者人口3558万人(28.1%)が2018年のデータになりますが、国連の報告書の基準によるとこの分類は、「高齢化社会(7%以上)」でもなく「高齢社会(14%以上)」でもなく、【超高齢化社会(21%以上)】と表現されるそうです。

 しかし私は、この世界の人口増加に反して、日本だけ逆行する人口減少に対する「超」大変な問題を、高齢者とか若者達とかの分類ではなく、世代を「超」えた日本人全員で向き合い解決すべき問題だと思っています。

 それには先ず、基準を国連ではなく「人の幸せ」に変換させ、年齢の壁を越えてお互いが理解し合う、お互いを知り合うことが、日本人の成長を促す最も大切なことだと思っています。これは国際化社会に向けて国連が掲げるパートナーシップの取り組みを、世代・男女・上司部下・政治家市民など【身近な人と同じ目線で関心を持つ】ことであり、日本人的解決法ではないでしょうか。

 こんな風に思うのは、私の大好きな義父がよく語ってくれる言葉に影響を受けてるからだと思います。

『現代はとっても無関心な時代である。そして、日本人は今や心淋しい時代を生きている。しかし生き抜くために組織の要(かなめ)となり世の礎(いしずえ)とならなければならない。でもそれを乗り「超」える方法が1つだけある。それは「他人(ひと)の心がわかること」だ。他人(ひと)の気持ちを理解出来る人がいることは、とても幸せなことだから』

 共感しています。そして、少子高齢化問題を解決する第一歩は、家族や親戚、祖父母と暮らすことの幸せ、古き良きものを大切にする【心の豊かさを見直す】ことかもしれません。

高齢化社会とヘルステック

皆さんは2025年問題をご存知ですか?

5年後、団塊の世代が75歳を迎え、国民の3人に1人が65歳以上、後期高齢者が約2200万人となり4人に1人が75歳以上になります。世界最速で高齢化が進む日本では、労働人口の減少による経済の影響、医療費の増大、医療従事者不足による医療格差の問題、社会保障の問題、地方圏での行政機能の低下など様々な問題が、5年後にやって来ます。

また、単身の高齢者も増え孤独や不便さを社会としてどうすべきでしょうか?

アメリカのマイアミでは、オンデマンド孫サービス「Papa(パパ)」が人気です。孫といってもお届けするのは子どもではなく、地元の大学生です。あらかじめ面接とバックグランドチェックを受けた選考率4%の登録された大学生をアプリ、ウェブサイト、電話でリクエストができるマッチングシステムです。家事の手伝いやスマートフォン・パソコンの使い方、病院の送り迎え、ゲームの相手などをしてくれるサービスです。但し、介護は行わない条件です。ベビーシッターの老人版というかシニアシッターです。

専門家によると人との接触頻度が低いと認知症の発症率が57%上昇する結果もあり、このサービスは、スタートアップ企業として複数の医療保険会社とパートナーシップを結び事業拡大しています。

日本では、高齢者がベビーシッターをするというビジネスが増えていますが、このビジネスモデルは日本でも地域、地元対策として取り入れられるのではないでしょうか。そして、2025年問題の解決のカギは、こういった【ヘルステック】にあるのかもしれません。

健康づくりの取り組み

日本の【ヘルステック】問題は、先ず「PHR」パーソナル・ヘルス・レコード、個人健康記録の実用化が問題点と言えます。つまり個人の健康診断結果や服薬などの医療情報が各病院、行政、事業者ごとにバラバラになっているのを集約することです。

ちなみに厚生労働省では、国民の健康づくりに向けた「PHR」として昨年から検討会を開き今年の夏に実現するように動いています。

また民間でもこの取り組みは既に行われています。個人的におススメなのは、「株式会社ヘルステック研究所」が展開するPHRアプリ『健康日記』です。こちらは既に新型コロナウイルス感染症の一助となるべく、特設ページが設けられ、現在は無償提供されています。

感染症が疑われる場合のチェック項目を各自が登録し、管理できるシステムです。もちろん通常の健康管理としても最適なアプリです。

皆さんは「健康寿命」をご存知ですか?

医療や介護に依存しないで、自分の心身で生命維持をして、自立した生活ができる生存期間のことです。人生100年時代に向けて【ヘルステック】は、この「健康寿命」をイノベーションしていきます。ちなみに私は120歳まで生きるのが目標です。

次回は、最新&注目のテクノロジーをご紹介します。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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