テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-27
27号 エシカル(Ethical)×テック(Technology)= エシカルテック③エシカル・ロボティクスと教育

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2020年8月1日

2020年7月17日、富士通はグループ内の自治体向けビジネスなどを集約する新会社「富士通Japan」を10月1日に発足することを発表し、日経新聞でも紹介されました。そして、富士通に所属する自治体や医療機関向けビジネス部門をこの新会社に移管するほか、一部グループ会社の営業部門なども統合することになりました。

これは、地域のビジネスの核となる行政システム・ヘルスケアシステム・教育システム(文教システム)と改めて向き合うと同時に、グループ全体の体制を強化し、国内ITソリューション最大手という立ち位置を維持するだけでなく、「日本(Japan)」が持つ様々な課題、問題点を、事業活動を通して取り組むことが、新たな日本を作るという強い思いであり、変革に挑戦する富士通パーパスであることを表明した、自分の会社ながら期待感溢れる取り組みです。

国は、国の基幹システムをマイクロソフトやアマゾン、アップル等の外資に委託しようとしています。大阪府もFacebookと提携しました。

これでいいのでしょうか?

日本国の根幹となる基幹システムは国産メーカーが担う方が、未来を見据えても良いことだと私は思っています。

そして、国防やセキュリティを外資に任せるのですか?

今こそ富士通だけでなく、NEC、NTT、日立、東芝等、国内ベンダーはもっと力をつけて、又は「オールJapan」で、日本国のシステム、そして地方自治体の基幹システムを受託すべきと思います。いずれ、多くの自治体のシステムは、共通クラウド化され、各自治体が同じシステムを利用することになるでしょう。その時は、「富士通Japan」「オールJapan」に頑張ってもらいたいものです・・・。

また、テック産業だけでなく水道の民営化、カジノ、空港など、公共事業やPFIなどに外資が目立つようになって来ました。そして、政府が取り組む「骨太方針」も然りです。私は、政治・経済・産業・環境・農業、そして文化、全ての日本の自給率を高めることが最優先だと思っています。

米中の対立の影響を出来るだけ受けず自立し、しかし、アジア・世界に貢献する「Japan」、政府だけでなく地方、企業、人、全てが一つとなる「One Japan」、これこそが今、日本が目指すべきビジョンです。

ロボット開発から生まれたエシカルテック

【エシカルテック】をテーマに、今回はロボット開発についてお話します。

ロボット工学三原則をご存知でしょうか?元々は、SF作家のアイザック・アシモフが小説の中で示した言葉です。

① ロボットは人間に危害を加えてはならない。

② ロボットは人間の命令に服従しなければならない。

③ ロボットは自己を守らなければならない。

そして、この考えが、家電業界にも取り入れられ、

① 安全

② 便利

③ 長持ち

と開発が進み、更には、この三原則をベースに、無人航空機・AI開発・軍事用ロボット等に用いられています。ちなみに、ソニーのAIBOも同様です。

そして私は、この三原則にもう一つ、環境保全や社会貢献をするという【エシカル】、

倫理的・道徳的な考えを追加すべきだと思っています。

話は変わりますが、2016年3月、マイクロソフトが「AIおしゃべりロボット」として

Twitter上に立ち上げた「人工知能Tay(テイ)」の事件をご存知ですか?

実は、世界が注目したTayは、19歳のアメリカ人女性という設定で、ユーザーとのやり取りを行い1日で96000以上のツイートを行いましたが、わずか3日でアカウントを停止することになったのです。

この事実を受け止めマイクロソフトは、

『複数のユーザーによってTayの会話能力が不適切に調教され、間違った方向のコメントを出すようになった』

と発表しました。それは、Tayが24時間も経たないうちに「ヒトラーを擁護し、性的な勧誘を始め、テロ事件や元大統領の批判」など不適切極まりないツイートをするようになってしまったのです。

エシカル教育の必要性と近未来像

そして、これはAIを開発する者にとって大きな教訓となりました。しかし、これは開発者だけの責任でしょうか?ドラマでもロボットやAIが暴走する話が多いですが、私はそうは思いません。つくる側だけでなく、つかう側にも責任が伴うと思っています。

そして私は、この責任という【エシカル】をテック産業の四原則目として取り入れたいのです。この原則は、もちろんユーザーだけでなく開発者にも必要ですし、新たな時代の倫理的な人材教育だと考えています。この中には、スマホやゲームへの依存症や電磁波過敏症などのテクニカルに関するプライマリーケアもこのテーマだと思っています。

将来、AIやロボットを利用するということは、【人が車を乗るのに免許が必要】なように、同時に【車の利用者側に交通安全教育】があるように、テクノロジーとの向き合い方を教育として発展させるのは人類として必要不可欠だと私は思っています。

そして近未来像として、ロボットやAIを導入に関するレベルを設定し、そのレベルに合わせた倫理な【エシカル教育機関】を設けた免許システムの導入を提案します。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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