2021年12月27日
2021 年12 月 7 日、Meta(旧 Facebook)の傘下にある Instagram の
CEO アダム・モッセリ氏が、米連邦議会の公聴会に出席し、
若年層のユーザーの安全にいかに取り組んでいるかを証言しました。
そして、この公聴会で発表された具体的な取り組み内容は、
Meta の将来に大きな影響を及ぼすだけでなく、
テック産業全体にも
この取り組みが反映され、グローバルスタンダードになると私は想像しています。
しかし、実はこの公聴会に至った経緯は、文春砲ならぬ
WSJ 砲(Wall Street Journal/ウォ ール・ストリート・ジャーナル)の記事がきっかけで、Meta や Instagram の経営陣とっては 喜ばしいものではありませんでした。
現に Instagram は、9 月 27 日に
13 歳未満向けサービス「Instagram Kids」のプロジェクト を一時停止すると発表することとなり、
世論も Instagram の若者たちへの悪影響について批判が高まり、
米連邦議会は「オンラインで子どもを保護する:Facebook、Instagram、メンタルヘルスの害」と題し、公聴会への召喚が決まったのです。
現在、Instagram では、13 歳未満の使用は禁止されていて、アカウント登録も実年齢での登 録が義務付けられています。しかし実際には日本でもそうですが、
トゥイーンと呼ばれる 10 歳~12 歳の子どもたちは年齢を偽って Instagram を使用しています。 もちろんこの問題は、Instagram だけではなく、その他のアプリや
特に中国発の TikTok(テ ィックトック)も同様です。
公聴会で改革として公表されたのは以下の内容です。
・2022 年 3 月から、より厳格なペアレンタルコントロール機能と保護者のための教育ハブ を追加する
・既に現在テスト中の、一定時間以上アプリを利用すると休憩を促す機能を、一部の国で正式版にする
・2022 年 1 月から、過去の自分のコンテンツを一括削除する機能を提供する
・フォローしていない若者へのタグ付けや言及の禁止(時期は不明)
・検索、探索、ハッシュタグ、推奨アカウントの内容を厳格に管理(時期は不明)
・若者が 1 つのトピックにこだわりすぎている場合、他のトピックにも注意を向けるよう
促す(時期は不明)
WSJ 砲を受けた当初 、
Instagram は、あれは「単なる誤り」と反撃していましたが、
エスカレ ートしたマスコミは、Facebook の過去の政治問題はギリギリありだとしても、
最後はコロナ禍におけるアンチワクチン投稿がもっとも多いのは Facebook だと主張しだしてしまい、 本来の目的が見えなくなって来ていました。
しかし、これらの経緯よりも Meta には申し訳ないですが、
今回更新される「子どもたちの 保護」を目的とした取り組みは、
全ての産業に影響を及ぼしデジタル社会のスタンダードとなるはずです。
とはいえソーシャルメディアの MAU 数(月あたりのアクティブユーザー数)を見ても若い世代における影響力は計り知れません。
ちなみに Facebook 約 29 億人・Twitter 約 3.3 憶人・Instagram 約 10 億人・YouTube 約 20 億人・LINE 約 2 億人・TikTok 約 10 億人と公開されています。これらの SNS とどう関わり、いかにハンドリングするかで経済・社会・教育・環境も変わる時代となったことを
私たちはもっと認識しなくてはいけません。
テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。
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