テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-12
赤ちゃん(Baby)×テック(Technology)=ベビーテック(Baby Tech) ~働く女性と生まれ来るこどもたちのために~

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2020年4月18日

2020年4月11日(土)午後11時から放送されたNHKのETV特集『緊急対談パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~』という新型肺炎による状況の中、人類は今後どこに向かうのかを、世界のオピニオンリーダーに尋ねる番組の中で、フランス人の思想家・経済学者のジャック・アタリさんがメッセージしていたのは「Think and Live Positive!(ポジティブに考えて生きよう!)」そして予てから語られていた「Altruism(利他主義)」の呼びかけだった。

「パンデミックという深刻な危機に直面した今こそ【他者のために生きる】という人間の本質に立ち返らねばならない」「協力は競争よりも価値があり人類は一つであることを理解すべきだ」「利他主義という理想への転換こそが人類のサバイバルの鍵でもある」

 私はジャック・アタリさんのメッセージを聞き、人類の一人として安心と安堵を覚えました。このパンデミックの現状は、無意識に他者と比べたり、批判したり、攻めたりすることが、ある意味当たり前で、これからの将来、未来に大きな不安やストレスを感じていたからです。

とはいえ、困難でもあります。【他者のために生きる】という他人の喜びを自身の喜びに感じられるパートナーシップを、私たちは持てるのでしょうか?しかし、ポジティブに考え、人間の本質に返れる世の中に、私たちは一つとなり協力しなくてはいけないのです。

それは、今の私たちの問題ではなく、【私たちのこども】や【生まれ来るこどもたち】という未来の問題だからです。今回のコラムは、赤ちゃんと未来のこどもたちのためのテクノロジーのお話です。

ベビーテックというテクノロジー

【ベビーテック】という言葉は、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)という全米民生技術協会(CTA)が、アメリカのラスベガスで毎年主催する電子機器の見本市のイベント「ベビーテックアワード(Baby Tech Award)」として、2016年から使われるようになりました。

そして、このイベントでは、5つのジャンルで優勝を競います。

「赤ちゃんの食事(Baby Eats)」「赤ちゃんの発育(Baby Learn & Play)」「赤ちゃんの安全(Baby Safety)」「赤ちゃんの健康管理(Healthy Baby)」「妊活補助(Fertility & Pregnancy Help)」の5部門で、IoTやAI、アプリ、webサービスなどIT技術を使って、妊娠、出産、育児のサポートをする商品が開発発表されています。

今回、何故このテーマを取り上げたのかといいますと、実は日本では今でも「育児は女性の仕事」、ましてやコンピューターや機械に育児を任せるなんて不謹慎では?という抵抗感を持つ方もいらっしゃるようで、日本では普及が遅れています。

また、現実的には、乳児向け商品の認可が厳しいという法的な問題もありますが、私は【ベビーテック】という新たなテクノロジーは【人に優しく】、そして、女性の社会進出のためにも、もちろんシングルマザー、シングルファーザーのためにも、少しでも【区別のない社会】の後押しになればと思い紹介させて頂きます。

人に優しいホスピタリティがテーマ

それでは、素敵な商品を何点かご紹介をしたいと思います。

 先ずは、誰でもミルクを飲ませられる「スマート哺乳瓶ブルースマート・ミア(Blue Smart mia)」は、ベビーテックアワードの「赤ちゃんの食事(Baby Eats)」部門で2018年に優勝した商品ですが、赤ちゃんが飲んだミルクの量、掛かった時間や温度を管理もしてくれるので、熱かったり冷たかったりするのを防ぎ、更にはリアルタイムでスマートフォンのアプリに記録します。また初めての人でも哺乳瓶の角度や飲ませる量をサポートしてくれる優れものです。もちろん市販の哺乳瓶に装着するだけ使えます。 

 2つ目は、スマートフォンと連動して使うハイテクチャイルドシート「The Cybex Sirona M」は、「赤ちゃんの安全(Baby Safety)」部門の受賞商品で、停車中の車に一時的にこどもを置いて離れないといけない時や、シートに何らかの異常が検知された時、また走行中にこどもが自らシートベルトを外すなど危険を察知した場合に警告してくれます。同時に、シートの温度や連続使用時間のモニターも行ってくれます。

 3つ目は、日経新聞でも紹介された陣痛の負担を軽減してくれるカラダノート社の「陣痛きたかも」というアプリです。陣痛間隔はお産の進みを知るのに必要な情報ですが、手書きで記録するのは負担ですが、このアプリはスマートフォンの画面に記録し、助産師さんに見せるだけで状況を伝えられ便利です。

 名古屋にあるユニファは、保育園で寝ているこどもの身体の傾きや動きをセンサーが認識し、タブレットに情報を送るシステムです。また同社は【ベビーテック】を使った「スマート保育園」の展開にチャレンジしています。

他にも、母子手帳のデジタル化や、赤ちゃんの心音を聞くことが出来る胎児超音波心音計、こどもを見守るライブカメラだったり、さまざまな効率化やサポートする【ベビーテック】があります。

また、日本でも、昨年から「Baby Tech Award Japan(ベビーテックアワード・ジャパン)」というイベントが、パパスマイルの主催でスタートしました。イベントも応援しますが、子育てをサポートするアプリや商品が紹介されていますので、是非、パパスマイルのホームページ(https://babytech.jp/)をご覧ください。

日本でも【ベビーテック】のブームが徐々に訪れていますので、皆さんも注目してください。そして、デジタルトランスフォーメーション都市のコラムでもお伝えしましたが、テック産業のテーマは【ホスピタリティ】だと思っています。

ひとに優しく、人と人、心と心の間に、テクノロジーという「おもてなしの心(ホスピタリティ)」が必要だと思います。これからも、様々なジャンルのテック産業を紹介したいと思います。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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