テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-21
20号 エネルギー(Energy)×テック(Technology)= エネルギーテック① 日本の選択と決断

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2020年6月20日

2020年6月20日、本日の朝日新聞デジタルの記事に「政府は19日、新型コロナウイルスの感染者との接触を通知するスマートフォンのアプリの提供を始めた。接触を把握してもらい、いちはやく検査などの対策をとってもらうことで感染拡大を防ぐ狙いだ。アプリは、「新型コロナウイルス接触確認アプリ」で、愛称は『CO(コ)CO(コ)A(ア)』。iPhoneの利用者は「アップルストア」、アンドロイド端末は「グーグル プレイ」からそれぞれ無料でダウンロードできる。1ヶ月ほどは試行版で、機能などが更新される可能性がある。」とのことでした。これは、5月20日のコラムとYouTubeでも紹介したAppleとGoogleが【協力】して実現した画期的なプロジェクトです。

 しかし、気になるところが一つあります。それは、厚生労働省の発表ではこのプロジェクトを受注したのは、マイクロソフトであると6月15日の日経新聞デジタル版で報じていましたが、「事実ではない」とマイクロソフト側は否定し、「現時点でこれ以上の回答は控える」とITmediaNEWSの取材にコメントしたそうです。

 元々、このプロジェクトは、民間団体コード・フォー・ジャパンと協議していると竹本IT担当大臣が4月に記者会見をされていました。しかし、AppleとGoogleが共通規格を実装出来るのは、1国1アプリで提供者は各国の保健当局に限られるとの条件があり、その後、厚生労働省が中心となり開発に取り組んで来ましが、政府の報道に5月から依頼者と言われていたマイクロソフトの文字がアプリ完成発表後、なくなりました。

 何故、日本の大事なプロジェクトの受託者が不明瞭なのでしょう。別に疑ってる訳でもないですが、他国にも深く関わるマイクロソフト側なのか、最近、給付金など委託におけるトラブルの多い政府側の問題なのか、不明瞭なところを深読みしてしまいます。私たちは事実を知りたいだけなんです。

 とはいえ、政府にも企業にも表には見えない複雑な事情は付き物です。それは個人や友人関係でも存在するぐらいですから完全否定するつもりはありません。しかし、これからの未来を左右する問題は、国民も知る権利があるはずです。難しい【選択】だったのかもしれませんし、しがらみがあり止むを得ない【決断】だったと思いたいですが、腹を割ってさらけ出してくれなければ、真実や本当の思いは伝わらないです。

 とはいえ、皆さんにもありませんか?【選択】と【決断】に迫られてることが・・・。意外と自分のことは分かってるようで分からないものです。今回から4週に渡りお伝えする【エネルギー問題】も同じように、日本人として知らなくてはいけないテーマですが、知ったからといえ、どうすることも出来ない真っ只中に問題が存在しています。

あなたはどうしますか?いよいよ【選択】と【決断】のカウントダウンが始まりました。

エネルギーを輸入に頼るか自給率を上げるかどちらを選択しますか?

先ずは、ライフラインの1つでもある【エネルギー】の現状と問題点をお伝えします。

【エネルギー】は、日本の経済、世界の政治、そして地球環境を大きく左右し、今を生きる私たちだけではなく、未来の子どもたちに関わる大切なテーマです。その【エネルギーの現状】を知って頂き、私たちが今後、何を【選択】【決断】すべきなのかを、ご一緒にお考えください。

さて皆さんは、日本の【エネルギー市場の規模】をご存知ですか?

なんと、21.6兆円です。21.6兆円といっても、鉄道業界が15.9兆円、IT業界16.6兆円、建設業界16.6兆円と比較すれば、そのスケール感が分かると思います。

次に、日本のエネルギーの自給率をご存知でしょうか?

・・・昨年のデータで、9.6%です。1割にも満たないのが現状です。世界で日本の自給率ランキングは、34位です。1位はノルウェーの796.2%、2位はオーストラリアの306%、アメリカは5位で、92.6%です。世界3位の経済大国の日本としては、極端に少ないのが分かります。

そして日本は、化石燃料を90.4%輸入に依存し、【エネルギー】を補っています。

これは、もし国際情勢が突然悪化し、最悪の場合、24時間で約3時間しか電気が使えないということです。つまり、電気消費量、世界4位の日本が一瞬にして、生活経済に支障が出るということです。これは【エネルギー】に関するとんでもない大きな問題です。

そして、輸入に支払う金額は、16.5兆円です。その輸入に関しては、「原油」はサウジアラビア38.6%、アラブ首長国連邦25.4%が主たる輸入国で、「天然ガス」はオーストラリア34.6%、マレーシア13.6%、「石炭」はオーストラリア71.5%、インドネシア11.8%になります。

皆さんもこれだけを聞けば、もっと国内にお金を使って自給率を上げるべきだと思いませんか?とはいえ、2010年までは20.3%ありました。しかし、2011年、東日本大震災の福島第一原発事故が発生し、原子力発電の在り方は大きく変わりました。そして現在、54基あった原発は、現状9基しか稼働していません。

あなたは「エネルギー問題」と「環境問題」のどちらを決断しますか?

では、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出する「石炭」「石油」「天然ガス」などの化石燃料の依存度はどうでしょうか。東日本大震災の前年は81.2%でしたが、原子力発電所の稼働停止にともなう電力不足を火力発電所で補ったことにより、2017年には87.4%に増加しています。日本は原子力発電を止めたのに【環境問題】では逆行していて、ショックを隠し切れません。

日本は「パリ協定」に基づき2030年までに26%の温室効果ガスの削減を迫られています。では私たちは、環境のため巨額なコストをかけてまで、原発にこだわるのか。自給率を上げるために何をどう取り組むのか。そして、現状のまま輸入に依存するのか。それとも新たな【エネルギーテック】を探すのか・・・。

日本の【エネルギー問題】は、様々な【選択】と大きな【決断】を迫られています。

 次回は、新たな【エネルギーテック】を3つピックアップしてご紹介します。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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