テック産業アナリスト-のと裕行のライフイノベーションコラム-31
31号 エシカルテック×AIガバナンス = AI運用・指導者の人材不足レジリエンスが高いガバナンストレーナーの育成

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2020年8月29日

ジョブ型雇用に日本も動き出す

先ずは最初に、安倍首相、誠にお疲れ様でした。志半ばでの辞任表明、賛否ありますが、安倍さんでなければこの長期政権はあり得なかったと私は敬意を表します。

さて、8月27日、日本経済新聞の朝刊に『ジョブ型雇用 日本の論点 報酬年功より職責・成果で』という日本企業が新たな雇用制度の導入に動き出したことを記事として掲載しました。そして、その参考例として挙げられていたのが、わが富士通です。

富士通は、今年4月、国内の管理職1万5000人にジョブ型の人事制度を導入し、21年度中には一般社員への展開に向けた労働組合との議論もスタートさせることになっています。

そして、富士通がなぜこのタイミングでジョブ型へと大きくかじを切るのかは、時田社長の経歴が影響してるのではないでしょうか。時田社長は、社長就任直近の約2年間、ロンドンに駐在し、海外のIT事業を統括される立場でした。そして、その時、痛感されたのが、世界で富士通がより発展するためには、人事制度もグローバルで統一する必要性があると思われたのです。

「ジョブ型は海外では当たり前だったが、日本だけが違った。13万人の全社員が同じパーパス(目的)に向かって動いてこそ、富士通の価値は最大化する。だから、働き方を世界で統一したい」。時田社長の想いです。

では、【ジョブ型雇用】と、今までの【メンバーシップ型雇用】は何が違うのでしょうか。

メンバーシップ型は、雇用の考え方は「人が主体」で、仕事内容は「総合的で曖昧」、そして「終身雇用」「年功序列」「定期昇給」「転勤あり」「特定の時期に新卒採用」です。

ジョブ型は、雇用の考え方は「仕事が主体」で、仕事内容は「専門的で明確」、そして「仕事が無ければ解雇あり」「能力、経験による報酬」「業務に合わせ随時、中途・経験採用」と各々メリットとデメリットも大きく違います。

また記事には、ジョブ型への移行は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を急ぐためだとも書かれており、「雇用」というビジネス戦略型の経営方針を示したのだと思いました。

そして、この方針の大きなポイントは、企業内【ゼネラリスト】を育てる旧来型ではグローバルに対応出来ないということも明確に示されたのです。

つまり今までの経営的雇用は【ゼネラリスト】という総務、人事、役員や管理職を育成する企業体質でしたが、今後は、【スペシャリスト】という特定分野に深い知識や優れた技術を持つ『ビジネスにおいて誰にも負けないエッジの立ったスキル』を持った人材が、富士通にとって必要な人材だと経営判断されたのです。

ということで、今後私は、自分の経験という小さな枠組みで、新人や同僚を判断するのではなく、【グローバル】な視点で、人とビジネスに向き合えるように『リスキリング』したいと思います。

今回は、【エシカルにおける人材と雇用】についてお話します。

未来型のエシカル人財

【エシカルテック】における次なる課題は人材です。

今までの提案は「メーカー的な開発側」の意見と「つかう側の消費者」の意見をベースにお話して来ました。しかし、AIやロボティクスが開発進展する中で、最も重要なのは、それらを運用する人材です。

消費者やステークホルダーの方々は、AIやロボットに対して恐怖心を抱いたりリスクマネジメントを必要とする人もいます。

そして、車の運転と同じで、使うのが上手な人、そうでない人がいるのも現実です。

とはいえ、この計算出来ないファジーこそが、人類とAIの違いであり、また接点なんだと思います。

このファジー理論は、改めて見直され、AIの実用化にも取り入れられています。

人間の感覚や感性は、けしてあいまいなファジーではなく、人間らしさというファジーこそが、あなたらしさの個性であり、生きてる実感なのかもしれません。

話を戻しますが、つまりAIやロボットの運用や指導するトレーナーという人材が、近い将来必要となるでしょう。

初期段階はビジネス運用するためのアドバイザーのような存在かもしれません。とはいえビジネスの実用化にも、企業自身の【AIガバナンス】の構築が必要となります。

また、政府や経団連の動きにも対応が必要です。ちなみに『ソサエティ5.0』の【AIガバナンス】には、今までにない新たな価値を生み出し、多様な人々が多様な幸せを尊重し合い、

持続可能な人間中心の社会を目指すために重要な技術の1つと位置付けています。

経済産業省では、『AI-Readyな社会』とビジョンを設定しました。

そして、これらを理解しハンドリングする人材、企業のリスクマネジメントをアドバイスする人材、エシカルテック教育のトレーナーとなる人材、AIやロボットをスペシャリストとして実際に動かす人材の育成は、今後、企業においての新たな【雇用】を生むことでしょう。

最後にこれらに適した未来社会を担う人材像をお伝えします。

それは【レジリエンスの高い人】です。

【レジリエンス】とは、復元力、回復力、自発的治癒力という意味ですが、企業では、例えばコロナ禍という状況でも、素早く環境に順応し、大変な時にはストレスが溜まり、心が折れたとしても自身で回復し、新たなチャレンジが出来る人のことを言います。

あなたの心が折れることを否定してるのではありません。

心が折れることがあっても、それを受け止めメンタルヘルスで復活し、更に前向きにチャレンジ出来る【ファジーで人間らしい人材】です。

テック産業アナリスト のと裕行でした。
ありがとうございました。

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